『大使夫人にこっそり聞いた 失敗しないヨーロッパ式マナーブック』

 またまた本のご紹介をさせてください。『鴎外の恋 - 舞姫エリスの真実』『それからのエリス いま明らかになる鴎外『舞姫』の面影』などで知られる六草いちかさんの『大使夫人にこっそり聞いた 失敗しないヨーロッパ式マナーブック』。

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 自慢じゃないけれどワタクシ、マナーには疎いです。ちゃんと勉強したことがないし、「なんとなく」「見よう見まね」でここまで生きてきました(← いばるな 笑)。いいチャンスだから、「大使夫人にこっそり聞いた」マナー本でこっそり勉強しよう!と思ってページを開いたら…






…ただのマナー本じゃなかったのです!もちろん、食事の食べ方やお呼ばれした時にするべきこと、ゲップしちゃダメよ~など、マナーの「イロハ」が丁寧に解説されているのですが、それだけではないのです。なぜこういうルールになったのか、なぜこういう所作が求められるのか、そもそもマナーとは何なのか、エチケットとはどう違うのか… そういったことが解説されていました。マナーには理由があるということを読んで痛感。単に「優雅に見えるから」とか、「ハイソっぽいから(笑)」といったことではなく、もっときちんとした理由と歴史があったんですね… ムダがなくスムーズにできる、周りの人に不快感を与えない、粗相せずにすむ、お互いに気持ちよくそのひとときを楽しめる ーー そういった様々な理由からマナーは長い時をかけて今の形に洗練されていったんだ・・・ということが読んでいてよく分かります。

 「おお!」と思ったのは、ドイツにおけるマナーの父「クニッゲ」の精神について書かれたところ。アドルフ・クニッゲは18世紀後半の人物で、「Über den Umgang mit Menschen」という本を出しています。なんでも、これは各家庭に必ずあったと言われるくらいバイブル的な本だったそうです。それゆえにドイツにおける「マナーの父」と呼ばれるようになったとか。ぬゎんと日本語訳を手掛けたのは森鴎外ですって。その名も「知恵袋」!。「帰ってきたヒトラー」をご覧になった方はご記憶かと思うのですが、冒頭にヒトラーがマナーの講師に悩みを打ち明けるシーンがあります。あの講師はクニッゲ協会の専門家(本物!)でした。あれを見て、「へえ〜クニッゲ協会なるものがあるんだ…」と思ったワタクシ。現代に蘇った悩めるヒトラーが相談した相手はクニッゲの関係者だったというワケ。

 私がこの本を読んで一番心を打たれたのは、『日本の「ごめんなさい」とドイツの「ごめんなさい」』の箇所。ドイツと日本における謝罪のあり方が書かれていました。特に第二次大戦に関する記述は読んでいてじーんと来ました。この文章を書くのに六草さんはどれだけの時間を費やしたことでしょう。マナーの本の中で、ドイツ人の謝罪のあり方を書いたということは、マナーは単なるルールではなく、心と心を通わせる手段であり、相手や周囲の人を思いやることから編み出されたものだという思いが著者の六草さんにあるからなのでしょう。

 …そんなワケで、奥のふか〜いマナー本です110.png





by Alichen6 | 2019-02-04 23:33 | ドイツのこと | Comments(0)

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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