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ブルーノ・ガンツの新作 「In Zeiten des abnehmendes Lichts」

 ブルーノ・ガンツといえば、日本で最も名前を知られたドイツ語圏出身の俳優さんですよね。なぜ「ドイツ語圏」と書いたかといいますと、ガンツさんはスイス出身だからです…。映画情報を調べていたら、ガンツさんの最新作のニュースに遭遇。おお、これは面白そうではないですかー。春に発表されたドイツ映画賞では、ガンツさんもこの作品で主演男優賞にノミネートされていました。総統閣下~アルムおんじ…と来て、今度は筋金入りの共産主義者だった頑固なおじいさん役。

『In Zeiten des abnehmendes Lichts』
原作者:Eugen Ruge (オイゲン・ルーゲ)
監督:Matti Geschoneck(マッティ・ゲショネック)
出演:Bruno Ganz(ブルーノ・ガンツ)、Alexander Fehling(アレクサンダー・フェーリング)、Sylvester Groth(ジルヴェスター・グロート)



 タイトルを直訳すると、「光の翳りゆく時代」みたいな感じでしょうか。時は1989年10月1日、壁崩壊の約1か月前。物語の舞台は旧東ベルリン。ひいおじいさんのヴィルヘルムは今年で90歳。バリバリの共産主義者で東ドイツの繁栄を信じて疑わない頑固な老人なのだそうです。しかし子供や孫の世代はもっと現実的で東ドイツの未来には懐疑的。しかし皆、それを隠してヴィルヘルムの誕生日を祝います。ところがその場で、孫が東ドイツを捨てて西に逃亡したことが発覚するんだとか…。未見なのでよく分からないのですが、消えゆく東ドイツを各世代の目を通して描いたもののようです。これってモロ、私の好きなテーマじゃないですか~~ 見たい、見たいわ、見たすぎる!(できればご縁も…) 

 監督のマッティ・ゲショネックは、伝説のDEFA俳優、エルヴィン・ゲショネックの息子さんだそうです。エルヴィン・ゲショネックってものすごい人なのです。ナチ時代、反ナチ活動に参加してゲシュタポに逮捕され、強制収容所送りに。ザクセンハウゼン → ダッハウ → ノイエンガンメと収容所を転々とさせられ、挙句の果てにはカップ・アルコナ号という船で移送される途中に沈没。多くの収容者が命を落とした中、彼は生き延びたのでした~。そんな壮絶な人生を送りながらも101歳まで頑張ったというスゴイ人です。その息子さんなんですね。旧東独出身の監督なら、決して「上から…」ならぬ「西から目線」ではなく、東出身者ならではの眼差しでもっと深い部分を描いてくれるのではと期待。

 原作は同名の小説で、数年前のベストセラーだそうです。作者オイゲン・ルーゲはソ連で生まれ、2歳の時に東ドイツへ引っ越してきたのだそうです。父親は歴史家だとか。東ドイツ出身者でないと、こういう視点では書けなさそう。調べれば調べるほど、この作品が見たくなる…




by Alichen6 | 2017-07-04 10:34 | ドイツ映画

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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