『ドイツ史10講』
2015年 07月 15日
ところで歴史の本をご紹介しちゃいます。実はワタクシ、歴史が好きでドイツ史の本は結構持っております。しか~し。トシのせいなのか、もとから穴だらけのザル頭なのか、とにかく読んでいるハシから忘れていってしまうのです…(ToT) だから厚い本だと最初のほうを忘れちゃう…。そんなトホホな脳にちょうどいい新書サイズの本でございます。
ローマ人や古代ゲルマンの時代から統一後まで、ドイツ史を10講に分けて解説してくれる本です。ドイツ史にお詳しいかたはよくご存じだと思うのですが、「ドイツ」という概念ができたのは、わりと最近。昔は中小の領邦で構成される集合体でした。なので厳密に言うと「ドイツ史」という言葉は正しくないのですが、便宜上しかたがないですね。著者の坂井榮八郎さんもその点を強調していらっしゃいます。また、仕事柄WW2あたりの歴史はよくおさらいするのですが、古代ゲルマンとか中世とかって、高校の世界史で習ったきり。もう忘却の彼方…
帯に書かれているように、内容は「ヨーロッパの中のドイツを見つめる、コンパクトな通史」です。この「ヨーロッパの中のドイツ」というのがミソ。ドイツだけでなく、周辺諸国の動きにも目をやり、より大きな視点で歴史を見るのがこの本の趣旨のようです。第5講にあった言葉が印象的でした。引用させていただきますね。
『そもそも十七、八世紀の、あの「弱肉強食」の時代に、自分の身を自分一人では到底守れなかったような弱小国が、ともかくも独立領邦として存続し得たというのは、帝国の構成国としてそれらの存在を国際的に認知したウェストファリア条約と神聖ローマ帝国の「法的保証」があってこそのことなのである。だから神聖ローマ帝国というのは一定の地域内で多数の国が共食いもせずに共存した一種の域内平和機構として機能したという評価もあり、さらにはヨーロッパ共同体の先駆的モデルとする味方すらある』
『一方ナントの勅令を発して国内にユグノーの存在を認めたように、各国とも「国教」を定めながら、国境の信徒以外のものの存在を許容するために、何らかの工夫をすることになる。それが普通である。この点でもドイツ=神聖ローマ帝国はヨーロッパの縮図なのであった』(引用終わりです)
今のEUにも当てはまるような…。 そしてなぜか、読みながらドイツでよく聞く言葉『Demokratie, Vielfalt und Toleranz』(民主主義、多様性、そして寛容)を思い出してしまうのでした。うっ 日本の誰かさんに聞かせたい言葉。日本はもう、民主主義国家じゃなくなっちゃいましたね。独裁者は吐き気がするほど嫌い。