『字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記』

e0141754_731657.jpg 先日、ツイッターで掲題の本が刊行されたことを知り、「えっ これは買わなきゃっ=3=3=3] と書店へ走り…じゃなかった、アマゾンのサイトへ走り、さっそくポチったのでした。うちの近所では、最後の書店も先日とうとう閉店してしまったのでした(涙)。アマゾンやブックオフに押され、昔ながらの書店は次々と姿を消していきますよね…。ホントに悲しい。

 で、届くやいなや、すごい勢いで読んでしまいました。すんごく面白かった!著者の太田直子さんは字幕界の大御所のおひとり。数年前に出た「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」もとっても面白かったのですが、この本も同じくらい、いや上回るくらい楽しい。字幕翻訳に関する基本的なことから、業界をとりまく情勢の変化、日本語の問題、字幕翻訳家になった経緯などが、冴えた筆致で時に辛辣に、時に面白おかしく語られています。そして何よりも最初から最後まで「映画愛」が貫かれているのです。ご本人はとても謙虚な姿勢で書いておられるのですが、この方の字幕がすばらしいワケが分かったような気がしました。

 私のような下っ端翻訳者と太田さんを同列に語るのはあまりにもおこがましいのですが、「そう、それなのよ!!」とか「その気持ち、すっげー分かるっっ」と叫びながら読書いたしました。こんなワタシと一緒にいしたら、ホントに、ホント~~に申し訳ないのですが、字幕の世界に入った経緯(というかルート)が実は同じ…!さらに、初号試写の会場で「うっ」といううめき声が上がる…というくだりでは、「わ、私だけじゃないのね…(ひそかに安堵)」と思いましたです。あはは。同業者の方々、読むとスッキリしますよ~~。一方で、「大御所の方々との間には、やはり大きな開きがあるなぁ… ガックシ」と痛感・落胆したのも事実。あーあ。

 字幕の世界に足を踏み入れて、ワタシはまだ15年ほど。この業界には30年以上という方も大勢いるので、実年齢は老けているものの、まだまだクチバシの黄色い(黄ばんだ?)ヒヨッコです。たったの15年ですが、この間にも字幕翻訳を取り巻く環境は大きく変化しました。始めた当時はDVDもなかったし、まだ「パチ打ち」という字幕を入れる手法も残っていました。そして業界を大きく変えることになった字幕制作ソフトもまだなかった。私が師事した先生は、手書き原稿を納品していました。「効率化」の波が押し寄せ、当時より全体的に字幕翻訳の水準が下がったかもしれない。だけど低予算での日本語版制作が可能となったお陰で日の目を見ることになったドイツ映画も多い。(劇場で公開されることのない、DVDストレートが大半ですが)「価格破壊」「愛のない安易なモノづくり」には絶対に反対だけど、ドイツ映画が日本にたくさん入ってくるのは大歓迎。それを考えるとフクザツです。

 とにかく、楽しく読めていろいろ考えさせてくれる本でした。オススメです!

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Commented by たら at 2013-04-24 09:34 x
おはようございます!興味深い本のご紹介、ありがとうございます\(^o^)/
私も早速読んでみます!
テレビの字幕も10年前はまだ紙焼きの時代がありました。そして、パソコンの普及とともにデジタル化していったなあとしみじみ。何かを調べるにしても今はインターネットで大体は調べられますが、10年ちょっと前はまだ情報が掲載されていなかったので、図書館で調べたりしていたなあと思いました;^_^A 私は未だにテレビの字幕スーパーの入れ方なんかは結構気になるですよね〜。一度染み付くとなかなか抜けない職業病なのでした(T_T)
Commented by ありちゅん at 2013-04-25 21:07 x
★たらさん こんばんは~ コメントありがとうございます!遅くなってしまってすみません。たらさん、テレビの字幕にかかわっていらしたんですか?今はきっとコンピューターで入れちゃうんでしょうね。たま~に誤変換らしき誤植があったりするので…^^; はい、コンピューターが一般的じゃなかった時代、調べものといえば図書館でしたよね。そして借りてきた本を机の上に積み重ね、ぱらぱらめくって調べものをしたものです・・。便利な時代になりましたよねー。しみじみ。
Commented by takbout at 2013-04-30 12:49 x
こんにちは。
古本から「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」を購入して読み始めました。
こちらが読み終わって、余裕があったら、こちらも読んでみようと思います。
Commented by ありちゅん at 2013-05-01 18:13 x
★takboutさん コメントありがとうございます~~ 「字幕屋は~」をお買いになったんですね!あれも面白かったです。takboutさん、たくさん映画をご覧になるので字幕にもお詳しいでしょう。舞台裏を見ると、また面白いのではと。。。
Commented by takbout at 2013-05-12 10:28 x
読んだ感想です。
むっちゃ面白かったです。
お暇な時にでも、ブログ読んでください。
やっと、字幕翻訳の方と吹き替え翻訳の方の名前が同じ作品で一緒じゃないのが理解できました。(^_^;)
Commented by ありちゅん at 2013-05-12 16:39 x
☆takboutさん、コメントありがとうございます!そしてブログも拝読しました。太田さんのご本、文章も生き生きとしていて面白いし、いろいろ裏話も満載だし面白いですよねー。楽しんでいただけてよかった!takboutさんは字幕派でいてくださるので、マジありがたいです~~~。これからもよろしくお願いいたします~~
Commented by takbout at 2013-11-26 09:57 x
こんにちは。もしご存じだったら、すみません。
太田さんの新刊が出てるのは、ご存じでしたか?
「字幕屋に「、」はない」 
という本です。
図書館で偶然発見して、嬉しくって読みました!よろしかったら、お暇な時にブログを読んで下さい。
その本の中に、「この言語が出来る字幕屋さんがいればいいのに」とおっしゃてる箇所がありまして、その中にドイツ語が一番に上がってました!
お~ありちゅんさんだ~と思ったのはいうまでもありません。
これからも、がんばって字幕付けて下さい。お願いいたします。
Commented by ありちゅん at 2013-11-27 15:14 x
☆takboutさん こんにちは~ 先ほどはいきなり失礼いたしました^^; そしてコメントもありがとうございます。太田さんの新刊が出たんですね!チェックしそびれておりました。ありがとうございます!今回も面白そうですね。ところで「この言語ができる字幕屋さんがいればいいのに」にちょっぴりショック!以前も、とある有名な文芸翻訳家さんが「ドイツ語の字幕翻訳者はまったくいない」と嘆いておられて、「え?ワタシ、一生懸命やってるのに…」とガックシきたことがありました。そして今回も太田さんがそうおっしゃっているということは、「ドイツ語字幕翻訳者は存在しない」と思っていらっしゃるということですよね…。ということは、私はまだまだ一人前に見られていないということ…(ToT) もっともっと頑張らないといけませんね。ありがとうございます。逆にやる気に火がつきました~頑張りますっっ
Commented by takbuto at 2013-11-27 17:34 x
こんばんは。こちらこそ、さっきはめっちゃ嬉しかったです。久々に声も聞けて、お元気そうでよかったです。
>私はまだまだ一人前に見られていないということ
というよりも、
貴重な存在ということではないでしょうか?
本の中で、太田さんは、自分がロシア語が出来るという事だけで、字幕屋の中で宣伝になるとおっしゃってました。
ありちゅんさんは、ドイツ語が出来るという強みを持っているので、今後、も~とお仕事がくるのかも?と思ったのでした。
後は、スペイン語とイタリア語でしたよ。
韓国語は、ここ数年増えたから、貴重じゃないみたいな言いぷりでした。
他の言語が得意な人に、ドイツ映画を取られないように、がんばって下さい。
ありちゅんさんお字幕大好きなので~。
Commented by ありちゅん at 2013-11-28 16:19 x
☆takboutさん コメントありがとうございます~。そして、励ましてくださって感謝!です。私はまだまだなので、精進いたします^^ そしてドイツ映画界の底上げ(?)のためにも頑張って努力しますっっ 長く続けていれば、今回みたいにご縁のあるお仕事が来ますしね~~。ホント懐かしい思いに浸っています。これからも、どうぞ末永くよろしくお願いいたします。
by Alichen6 | 2013-04-24 07:26 | つぶやき | Comments(10)

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


by Alichen6
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