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戦前「ユーハイム」で売られていたお菓子類

先日、ユーハイム創始者カール・ユッフハイムの伝記を読んだことを書きました。第二次大戦前の日本で、「今よりもず~っとドイツドイツした味」が売られていたことに私はビックリいたしました。伝記に当時の品揃えが載っていましたので、ご紹介しますね。皆様、私の趣味に付き合わせてしまってすみません。今日、初めてこのブログにお立ちよりいただいた方、よろしければ過去ログを・・・

ユーハイム物語 その1 → コチラ
ユーハイム物語 その2 → コチラ

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以下、新泉社「カール・ユーハイム物語」から引用させていただきますと:

●ピラミッド(いわゆるバウムクーヘン)

●チョコレート類(ウォルナッツ、チェリー、アスバファウ、ワァルトブランデー、リキュール、トルフル、ペパーミント、アーモンド、アーモンドやま、ミルククリーム、パイナップルクリーム、いちごクリーム、モカクリーム、マジパン

●ビスケット類(バウムクーヘンスピッツ、あんずマカロン、Sのマカロン、キングビスケット、ステファニー、ココナッツ、ウォルナッツメレンゲ、メレンゲ、チーズビスケット、チョコプレツ、白プレツ、豚の耳、パリシャン、オリエンタル、ウォルナッツ、サンプレツ、バタービスケ、スペコラツ、ツイバークビスケット

●タートケーキ類(イタリアン、アイヒケーキ、マカロンケーキ、モカケーキ、チョコレートケーキ、パイナップルショートケーキ、ピーチパイ、アップルパイ、ドイツアップルパイ、チーズタートケーキ、バニラケーキ、ケーゼトーテ、グレラッシュトーテ

●バターケーキ類(フェルトサンドケーキ、キングケーキ、チェリーケーキ、ナップケーキ、ストーレン、プラムケーキ、ハネーケーキ、サンドケーキ、リングケーキ、ぶどうパン

●スモールケーキ類(コペンハーゲン、うずまきケーキ、アップルパイ、クリームパイ、エクレヤ、チョコレート、モカ、ニガヘル、ヌスタート、ビナカツ、モカクリーム、ジャムパイ、トルフェル、フラウメンクーヘン、アップルクーヘン、ストロイスクーヘン、マカロン、シッフェン、ハーネンガム、ドーナッツ

(引用終わり)

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 こうして見てみると、「ははーん、コレは今で言うアレだな」と分かるものもありますが、「何ソレ?」と、どんなケーキなのか全く想像がつかないものもあります。ワタシの趣味で、勝手に気づいたことを列挙しちゃいます。お付き合いいただき、恐縮です。長いでっせ。

★チョコレート → 「アーモンドやま」ってなんだろう?アーモンドグリコ(懐かしい!)みたいに、アーモンドが上に載ってこんもりしているチョコかなぁ?トルフルというのは、いわゆるトリュフかしら?「アスバファウ」というのは、Asbach Uralt というブランデーが入ったチョコレートかなぁ?古いほうのブログで書いたことがあります → コチラ。 ただし、ドイツ産ブランデーの草分けであるアスバッハ・ウアアルトが入ったチョコレートは1924年に作られた、とありますから、第一次大戦中に捕虜となったユーハイムは現物を知らないはず。はてさて。

★ビスケット類 → 「チョコプレツ」「白プレツ」って何だろう?いわゆる Brezel (ブレーツェル)のチョコ味やプレーンかなぁ? 豚の耳(Schweinsöhrchen、パルミエ、源氏パイともいふ) が当時から売られていたんですね。「パリシャン」って何だろう?フランス銘菓かな。「スペコラツ」はシュペクラーツィウスですな。「ツイバークビスケット」は旧ブログで書いたことがあります → コチラ。いわゆる「ラスク」です。話はそれるのですが、最近フランス語の「ビスキュイ」を調べていて知ったのですが、これって「2度焼く」という意味なんですって?(←合っていますでしょうか?すーさん、しるぶぷれ) イタリア語の「ビスコット」や英語の「ビスケット」も、「二度焼き」から来た言葉なんだそうです。ちなみにツヴィーバックも「2度焼き」という意味。語源は同じなんだろうなぁ・・・

★タートケーキ類 → いわゆる「トルテ」でしょうね。そもそも Kuchen と Torte の違いって?独独辞典などを見ると、Kuchen は焼いたケーキ、Torte は「クリームや果物などで飾られ、何層かになったケーキ」の総称なんですよね。日本では、クーヘンもトルテも「ケーキ」ですが、向こうでは区別している模様。チーズタートケーキと、ケーテトーテの違いがよく分からないのですが・・・どちらもチーズケーキみたいなヤツだと思うのですが。

★バターケーキ類 → バターをたっぶり使って焼いたケーキの類ですね。サンドケーキは恐らく Sandkuchen (ザントクーヘン、いわゆるパウンドケーキ)。フェルトサンドケーキは先日も書いたのですが、元のドイツ語が不明。この日本語で検索したところ、フランクフルター・クランツによく似たお菓子がヒット → コチラ。ルーツが知りたいなぁ・・・。ナップケーキはおそらく Napfkuchen (ナップフクーヘン、いわゆるクグロフ)、キングケーキは Königskuchen (ケーニヒスクーヘン、いわゆるフルーツケーキ)。ストーレンは Stollen (シュトレン)。日本では「シュトーレン」と表記されることが多いのですが、「シュトレン」が近いと思います。

★スモールケーキ類 → うずまきケーキって、いわゆる Schnecke (=かたつむり。ぐるぐる巻いたデニッシュ)かなあ?ニガヘルって意味不明です・・。ヌスタートは、Nusstorte (=ナッツのタルト)でしょうね。フラウメンクーヘンは、Pflaumenkuchen(=プラムのケーキ)。ストロイスクーヘンは Streuselkuchen (シュトロイゼルクーヘン、クラムという、バターや小麦粉、砂糖の種をそぼろ状にしたものをのせて焼いたケーキ)ではないかと。シッフェン (Schiffchen=小舟?)とかハーネンガムなどは不明・・・。実物が見たいなぁ。

神戸店より前、第一次大戦終結後に「カフェ・ユーロップ」でお菓子を売り始めたころは、「ニグロスヘット」(=Mohrenkopf、Schokokuss ともいふ)も扱っていたみたいですね。旧ブログで書いたことがありました → コチラ

・・・長々と書いちゃって失礼いたしました。ドイツ人にとってとっても大切な文化(だと私には思える)であるお菓子作りが初めて日本に伝わったわけですので、当時がどんな様子だったかとっても気になってしまいます。当時のレシピなんておそらく門外不出だったんだろうなぁ・・・。写真も残っていないだろうし。「ビナカツ」とかどんな外見だったんだろう?とても気になります。
by Alichen6 | 2008-11-28 12:33 | ドイツのお菓子

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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