ドイツ映画 『Elementarteilchen(邦題:素粒子)』 を今頃見ました
2008年 03月 03日
じっくりあらすじを書く時間がないので、昨年公開された時の劇場「ユーロスペース」さんのHPから引用させていただきます。
以下引用
『「人生は期待に満ちていて、それを裏切る」
幼い頃、両親に養育放棄された異父兄弟―国語教師の兄・ブルーノと、生物学者の弟・ミヒャエル。ブルーノは結婚生活を送る満たされない愛の欲求を強烈な性的欲望にすりかえ、ヒッピー集団のキャンプや風俗クラブへ出向くようになる。一方、天才的な研究者として隠者のような生活を送るミヒャエルは、クローン技術を応用した人間の進化の方法を模索する。そんな二人に転機がおとずれる…。現代社会の恐ろしいほどの愛の欠如と絶望感を、ユーモアと悲哀を交えて痛烈に描いた問題の恋愛劇。』(以上、ユーロスペースのHPより引用)
母の愛を知らずに育った兄弟は、まったく違う道を歩みます。特に兄のブルーノは精神を病み、満たされない思いに苦しみながら紆余曲折の人生を歩んでいます。最後は救いを求めて精神科に自ら戻っていくわけですが、その過程の描き方・演じ方は見ていて心にしみます。ネタバレしてしまうので詳しくは書けませんが、病院の廊下のシーンではワタシったら涙がボロボロ・・・。期末試験のため、早く帰宅した子供が「ギョッ」と驚くほどボロボロ・・・ 「愛」「死」「苦しみ」「孤独」といった重苦しいテーマなのですが、エンディングで救われるような気持ちになります。
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話題になった映画なので、ご覧になった方も多いと思いますが、もしまだ見ていらっしゃらなかったらご覧になってみてくださいまし。モーリッツ・ブライプトロイが「性的欲望を抑えられない男性」を演じるのは「アグネスと彼の兄弟」以来2度目ですが、これが彼の地とちゃうか?と思うくらい上手。平たく言えば、「ヘンタイの役」ってことです、はい。弟のミヒャエルを演じたクリスティアン・ウルメンも晩熟(おくて)の天才学者っぽい雰囲気を出していましたが、むしろ若いころのミヒャエルを演じた若手俳優さんが光っていたように思います。「クレイジー」「アグネス~」でも出演していたトム・シリングという俳優さんです。うっしゃー 目をつけておこうっと。
そのほかにも出演者がゴーカでした。私が好きなヘルベルト・クナウプというおじ様(「善き人のためのソナタ」でシュピーゲル誌の記者役でした)、コリンナ・ハルフォーフ(「ヒトラー、最期の12日間」でゲッベルス夫人役を熱演)など、大物がゴロゴロ。「善き人のためのソナタ」「マーサの幸せレシピ」のマルティナ・ゲデックは、場末チック・孤独・物悲しく荒んだ役を演じさせると天下一品だと思ってしまいました。自由奔放な母を演じたのは、ニーナ・ホス。「イェラ」「マサイの恋人」といった作品に出演していました。華があって美しい女優さんです。
今頃こんなこと書いてホントお恥ずかしいのですが、自分用のメモも兼ねて書いちゃいました。大人の話なので、「大人のシーン」もてんこもりなのですが、不思議といやらしい感じは受けませんでした。原作はかなり難解だといううわさですが、ぜひ読んでみたいと思った次第です。