ドイツ映画 『Elementarteilchen(邦題:素粒子)』 を今頃見ました 

 今頃になって書くのもお恥ずかしいのですが、昨年公開されたドイツ映画 『素粒子』をようやく見ました…。今頃何言ってるの?もう見ちゃったよーという方も多いと思います。自分用のメモも兼ねて書かせてくださいませ。実は今回、同じオスカー・レーラー監督の作品『アグネスと彼の兄弟』も一緒に借りて連続で見たのです。出演者もかなりカブっていますし、根底に流れるものがよく似ていて、ちょいと「ギョギョっ」となりました。

 じっくりあらすじを書く時間がないので、昨年公開された時の劇場「ユーロスペース」さんのHPから引用させていただきます。

以下引用
『「人生は期待に満ちていて、それを裏切る」
幼い頃、両親に養育放棄された異父兄弟―国語教師の兄・ブルーノと、生物学者の弟・ミヒャエル。ブルーノは結婚生活を送る満たされない愛の欲求を強烈な性的欲望にすりかえ、ヒッピー集団のキャンプや風俗クラブへ出向くようになる。一方、天才的な研究者として隠者のような生活を送るミヒャエルは、クローン技術を応用した人間の進化の方法を模索する。そんな二人に転機がおとずれる…。現代社会の恐ろしいほどの愛の欠如と絶望感を、ユーモアと悲哀を交えて痛烈に描いた問題の恋愛劇。』
(以上、ユーロスペースのHPより引用)

 母の愛を知らずに育った兄弟は、まったく違う道を歩みます。特に兄のブルーノは精神を病み、満たされない思いに苦しみながら紆余曲折の人生を歩んでいます。最後は救いを求めて精神科に自ら戻っていくわけですが、その過程の描き方・演じ方は見ていて心にしみます。ネタバレしてしまうので詳しくは書けませんが、病院の廊下のシーンではワタシったら涙がボロボロ・・・。期末試験のため、早く帰宅した子供が「ギョッ」と驚くほどボロボロ・・・ 「愛」「死」「苦しみ」「孤独」といった重苦しいテーマなのですが、エンディングで救われるような気持ちになります。

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 話題になった映画なので、ご覧になった方も多いと思いますが、もしまだ見ていらっしゃらなかったらご覧になってみてくださいまし。モーリッツ・ブライプトロイが「性的欲望を抑えられない男性」を演じるのは「アグネスと彼の兄弟」以来2度目ですが、これが彼の地とちゃうか?と思うくらい上手。平たく言えば、「ヘンタイの役」ってことです、はい。弟のミヒャエルを演じたクリスティアン・ウルメンも晩熟(おくて)の天才学者っぽい雰囲気を出していましたが、むしろ若いころのミヒャエルを演じた若手俳優さんが光っていたように思います。「クレイジー」「アグネス~」でも出演していたトム・シリングという俳優さんです。うっしゃー 目をつけておこうっと。

 そのほかにも出演者がゴーカでした。私が好きなヘルベルト・クナウプというおじ様(「善き人のためのソナタ」でシュピーゲル誌の記者役でした)、コリンナ・ハルフォーフ(「ヒトラー、最期の12日間」でゲッベルス夫人役を熱演)など、大物がゴロゴロ。「善き人のためのソナタ」「マーサの幸せレシピ」のマルティナ・ゲデックは、場末チック・孤独・物悲しく荒んだ役を演じさせると天下一品だと思ってしまいました。自由奔放な母を演じたのは、ニーナ・ホス。「イェラ」「マサイの恋人」といった作品に出演していました。華があって美しい女優さんです。

 今頃こんなこと書いてホントお恥ずかしいのですが、自分用のメモも兼ねて書いちゃいました。大人の話なので、「大人のシーン」もてんこもりなのですが、不思議といやらしい感じは受けませんでした。原作はかなり難解だといううわさですが、ぜひ読んでみたいと思った次第です。
Commented by takuya at 2008-03-03 21:13 x
『素粒子』、まだ観ていません。ブライプトロイって、ほんとに器用ですよね。『アグネス…』のヘンタイぶりも見事でしたが、観た範囲で一番よかったのは初期アキン作品の "Solino" かな。ウルメンは "Herr Lehman" でしか、シリングはドイツ物にしては実に素直な恋愛もの "Herz im Kopf" でしか知らなくて、今まで印象が強くありませんでした。
Commented by Alichen6 at 2008-03-03 22:59
★takuyaさん コメントありがとうございます。そーですよね。モーリッツ・ブライプトロイを初めて見たのは私はラン・ローラ・ランなのですが、その時はさほど才能あるとは思いませんでした。背も高くないし、とりたててハンサムなわけでもないし。そのあと、「es」を見たときも特にすごいとは思わなかったのですが、次々と難しい役柄ををこなしていくのを見て、タダモノじゃないかも・・・と最近では思い始めています。「アグネス…」のヘンタイぶり、あまりにも上手に演じていたので、これが彼の地とちゃうか~と思った次第です。トム・シリングは「アグネス~」で、ビデオを構える息子役で出ていましたよね。「アグネス~」は週末に見て、ヘルベルト・クナウプがトイレするシーンに驚愕しました・・・。オスカー・レーラー監督ってかなりヘンかも・・・と思ってしまいました。ウルメンの良さは、今回の映画では出し切れてないかな、という印象を受けました。
Commented by takuya at 2008-03-04 01:05 x
あー、ありましたね、クナウプの脱糞シーン。下世話ついでに、脱糞シーンであまりにさりげなくて印象が強かったのはヴェンダースでした。便器を初めて映したのはオレだ、と威張っていたのはたしかヒッチコックですが、あのヴェンダース(こういうネタだけにこの名前でつまらない地口をオヤジ的に口走りそうになりますが)は強烈でした。クナウプは僕の知る範囲では確か MON-ZEN (Erleuchtung garantiert) がよかったですね。
アグネスあたりのブライプトロイが「地」だというのはかわいそうかも。
Commented by Alichen6 at 2008-03-04 09:25
★takuyaさん コメントありがとうございます。

> あのヴェンダース(こういうネタだけにこの名前でつまらない地口をオヤジ的に口走りそうになりますが)

も、もしかして…「便ダース」と書きそうになってしまった、ってことでしょ~か・・・(笑)? ヴェンダースにそういうシーンってありましたっけ?ヒッチコックも「鳥」しか今は思い浮かばないのですが・・・。クナウプは「アナトミー2」で初めて見たのですが、声も渋いし演技もうまいし背も高いしで、「素敵・・・♡」とついつい思ってしまったのですが、渋い演技はそれしか見たことがなく、あとはどっちかというとお茶目な役が多いような気もしてきました。MON-ZEN はドーリス・デリエ監督でしたっけ?未見なのですが、よい映画なのでしょうか?タイトルはよく耳にするのですが。

> アグネスあたりのブライプトロイが「地」だというのはかわいそうかも

あはは、確かに。でも、「アグネス」「素粒子」と2作続いて見ると、かなり強烈な印象が残ってしまって・・・。「素粒子」、お時間がありましたら是非ご覧になってみてくださいね。
Commented by takuya at 2008-03-04 12:37 x
あ、書いちゃいましたね。ダースじゃなくて出す、ですけど。それはどうでもよくて、あのシーンは「さすらい」だったと思います。すごく自然で不思議なシーン。
「もんぜん」にクナウプが出てたというのは勘違いでした。すみません!
Commented by mau at 2008-03-04 12:41 x
お久しぶりです。トム・シリング君、私もお気に入りです。ぜひ「エリート養成機関ナポラ」も観て下さいまし!繊細な少年役でいいですよー。
Commented by Alichen6 at 2008-03-04 16:24
★takuya さん あ~そうでした。「出す」まで書いて初めて完璧でしたね。シマッタ。「アグネス」では、なぜあのシーンが?と、よく事情がのみこめなかったのですが…。おっと、ここまで書いて思い出しましたが、ヴェンダースの初期のころの短編ドラマを見たことがありました。会話の端々にソレ系の言葉が出てきて「ギョッ」となったことが・・・。そういうのが趣味なのかしらん。幼稚園児は好きですよね、この類が。
Commented by Alichen6 at 2008-03-04 16:28
★mauさん わ~ ご無沙汰しています~。おかえりなさい!東京にはもう慣れました?ドイツと違って日本は何でもせせこましいというか、テンポが速すぎるというか、とにかく勝手が違って最初は大変なのでは??? ところでさすがmauさん、お詳しいですね。トム・シリング君、目の演技が上手い! クリスティアン・ウルメンは、あの役では彼の持ち味を生かしきれてないかな~と思ってしまいました。ああいった繊細な役柄は、トム・シリング君のほうが「はまり役」なのでは、と。「エリート~」未見なのですが、日本でもDVD借りられるんでしょうか?早速探してみようっと。ありがとうございます。
Commented by spatz at 2008-03-04 20:42 x
わ~もう盛り上がってる~ガス給湯器故障で中断したけど今ヒッピ~ママが亡くなりミヒャエルが幼なじみの彼女に再開するあたりまで今日みました~

ありちゅんさんにはメールで書きましたがウェルベックという作家の取り上げられ方に前から興味があり、子供をもつ前の自由な独身だったら、フランス語はさっぱりだけど翻訳でよんでただろうな~しかし今や駄目だから全く読んだことない。MAUさんあたりなら詳しいかしら(プラットフォーム、とかもかなり有名)。

まだDVD半ばですがこの先どう展開するか楽しみ…

それでもってネットTSUTAYA初体験の感想は?
Commented by ありちゅん at 2008-03-04 20:53 x
★シュパぴょん 素粒子の世界へようこそ~。ガス給湯器はホントお気の毒・・・。何とか自力で復活しないかしら。無理? ヒッピーママが亡くなったところまできたのね。後半もイロイロ起きます。お楽しみに。私もmau さんなら、すでに英訳(原語はフランス語なのかな?)か独訳で読んでらっしゃるんじゃないかと思って、あとでお邪魔しようかな~と思っていたところです。
★ どうでしょう? mau さん♪

ネットで注文するTSUT●YA は初体験だけど便利ね~。10日くらい借りられるのもビックリだけど、ちゃ~んと返信用切手が貼ってあるのにも感動。私はてっきり、返却用の郵便代は料金には含まれないと思っていたので・・・。郵送料込みの値段なのね、あれって。安いわ~。 また借りたい♪
Commented by mau at 2008-03-05 09:25 x
「素粒子」とその続編的位置づけの「ある島の可能性」は日本語訳で読みました♪一見過激なので好き嫌いは分かれるでしょうが、本人大真面目にやってるところが私は好きですねー。
「素粒子」感想:http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20060410
「ある島…」感想:
http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20070403
「ナポラ」はぽすれんではレンタルできるみたいですが、TSUT●YAはどうだろう…もしダメならドイツ語版持ってるのでお貸ししますよ!
Commented by Alichen6 at 2008-03-05 13:23
★mauさん コメントありがとうございます~ 早速今、mau さんのお宅へお邪魔してきたところです。さすが mauさん、簡潔で明解、それでいてツボを押さえた鋭い書評に感心しました~。特に「ある島の可能性」は「素粒子」の続編的位置づけ、というのがヒジョ~に分かりやすかったです。昨年レーラー監督が来日した際に座談会で聴いたのですが、原作者を試写会に呼んだものの非常に緊張した、みたいなことを言っていました。原作を尊重しつつも、かなり独自の味付けをしてしまった、みたいなニュアンスだったと記憶しています。ますます原作を読みたくなってきた~。

ところで勧めていただいた「ナポラ」、T●UTAYA でレンタルしちゃいました。明日には届くはずです。楽しみ。ご紹介、ありがとうございました。このトム・シリング君(と言っても実はもう26歳なんですね)、今秋ドイツ公開予定のRAF映画でも出演するみたいですよ。あの憂いを帯びた目がまた見られるかと思うと楽しみです♡
Commented by spatz at 2008-03-05 22:55 x
私も、mauさんのところにお邪魔してみました。いつもながら、読み応えたっぷりの書評ありがとうございます。
ああ私も本が読みたいなーと思わせられます。

しかし、こういっちゃなんですが、あ、あの人もこの人もつい最近みたあの映画で見た、というように、何枚DVDを借りても、なぜか同じメンツを何度もみてしまう・・・というのは私だけ?そりゃ似たような系統の(監督がいっしょとか)をあんたが借りてるんだろ、といってしまえばそれまでなのですが…
ドイツ映画ってある一握りの俳優がばんばんメインの映画に出てません?(すみませーんあまり色々みているわえけでもない門外漢が勝手なものいいを。まちがってたら叱ってね)
Commented by Alichen6 at 2008-03-06 07:30
★シュパぴょん こちらにも米ありがとう~。そー、私も「えっ また●●と▼▼が共演?」とかよく思っちゃう。人気のある俳優さんたちは引っ張りだこなんでしょうね。人気俳優に頼るという安易な発想に走るのは日本も同じかも。テレビを見ていると、同じ顔ぶればかりだもんね。特に若い人気タレントなんてあちこちで見かけるし…。ドイツ映画、何本かは興行的に大成功してるけど、ほとんどが赤字だったりするんだって。先日、Web版のニュースで読んだけど、ドイツ映画界自体は市場そのものが縮小しちゃってるらしいわ~。心配。と言いつつ、Baader-Meinhof-Komplex のページでは「見て~人気者がゾロゾロ出てる~」とはしゃいでいたミーハーな私です。
by Alichen6 | 2008-03-03 14:24 | ドイツ映画 | Comments(14)

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


by Alichen6
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