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『動物たちの内なる生活』

 またまたこちらでは更新が滞ってしまいました。かなり前に読み終えたのに、いろいろ忙しくしていてなかなか感想をUPできず…。今日、ようやくブログに書くことができました。とっても、と~~っても素敵な本です。動物好きにはたまらん本です❤


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『動物たちの内なる生活」
ペーター・ヴォールレーベン 著
本田雅也 訳



 著者が森林管理官として日々積み重ねてきた経験、科学者並みの観察眼による分析、そしてとっても独創的な視点による考察が、時に楽しく時にシリアスに描かれています。訳者あとがきでも書かれていますが、『人間と生活圏を接するそんな動物たちを取りあげて、その行動から垣間見える彼らの「内面」を、できるだけ客観的に、しかし著者自身の実感を大切にしながら、探っていく』本なのです。著者の名前もステキです。Wohlleben 「快適な暮らし」。著者にとっての「快適な暮らし」とは、生き物と共存しながら心豊かに生きること。なんとすばらしい名前なんでしょう…!


 この本を読んで感じたのは、自然に対して注がれる著者の謙虚なまなざし。人間が生き物の世界の頂点に君臨しているといった考えが全くなく、植物、虫、微生物、動物など生命のあるものすべてと共存するという考えから日々を暮らしているのが伝わってきます。むしろ、人間は彼らの恩恵を被るばかりか、自然界の傲慢な破壊者として横暴を働いている存在なのかもしれません。


 森林管理官として森の管理に努め、自然と向き合っていくとこういう風に謙虚になっていくのかも。また、ただ管理するだけでなく、ある時は動物学者のような、またある時は植物学者のような知識と分析力によって生き物の内面に迫っていく――。読むと納得すると同時に、「そういうことだったのか!」と目から鱗が落ちることも。


 自然のない東京に暮らしている私の経験など、ヴォールレーベンさんの日常と比べることすらおこがましいのだけど、私もこの夏は芋虫三昧だっただけに共感することも多くありました。アシナガバチが芋虫ブラザーズをミンチにしてくれちゃった時、「なんてヒドイことを…!」と怒りが湧いたのですが、よく考えてみたらアシナガバチの巣ではお腹をすかせたハチノコがお母さんの帰りを待っていたはず。万が一、あそこで私が殺虫スプレーでもかけてハチを殺していたら、巣で待つ子供たちは間違いなく飢え死にしたでしょう。アシナガバチは人間を刺すので、そんな温情は無用なのかもしれません。だけど、人間にとって害があるから「害虫」と決めつけて駆除するのは、食物連鎖の鎖を勝手に断ち切ることになっちゃう。それは人間の傲慢なのかもしれない… そんなことを、カササギのエピソードを読んで考えたりしました。


 全体を通して感じられるのは、著者の生き物に対する深い愛情と畏敬の念。そして自然界の中で生かされていることへの感謝。しかも、ただ文章を綴るだけでなく、遊び心たっぷりの楽しい文章なのも読者としては嬉しい♪翻訳者の本田さんが、著者のユーモアあふれる文章を、1つ1つ大切に訳していらっしゃるのも伝わってきました。もちろん、遊び心には遊び心を。ウマい表現に思わずぽん!と膝を打ってしまいました。私も調子に乗っていろいろ感想を書きすぎると馬脚をあらわしてしまうかも…


コレ(↓)にソックリなエピソードも…💓
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by Alichen6 | 2018-12-20 23:04 | ドイツのこと

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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