Erfurt ~ エアフルト (その2)

 エアフルトでは、ガイドに載っているような素敵な場所を散策しました。大聖堂やクレーマー橋(橋の上に古い家が並んでいます)、そして古い街並み。ふと地図を見ると、「Gedenkstätte(記念館)」とあります。何コレ? 行ってみると…

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…かつての政治犯収容所でした。今は記念館 兼 若い人たちのための教育施設となっている模様。考えてみると、そうですよね。今の中学生や高校生は、生まれたときからすでに統一ドイツ。親御さんも恐らく40代でしょうから、壁が崩壊したときはまだ未成年。東ドイツの記憶は語り継がないとどんどん忘れられていってしまうのかも…。

 …なお、この施設は階ごとに展示のテーマが決まっていました。 ①収容所の実態(3階)②ドイツ社会主義統一党(SED)による独裁(2階)③革命(1階)この3種類です。

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まず、収容所に関する展示から。床に書かれた文字。ここから先は名前ではなく、番号で呼ばれた事実をイメージ化したもの。VR36 というのは監房(最近は居室というのでしょうか?)の番号、Ⅳは4番目のベッドという意味だそうです。これは4人部屋のケースですね。


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「事情を聞きたいから、ちょっと来てくれ」という言葉から始まるんだそうです。この Kommen Sie mit zur Klärung eines Sachverhalts! というのは、ほかでも目にしたことがあります。おそらく決まり文句だったんでしょうね。こうして政治犯は身柄を拘束され、全国に17か所あった拘置所へと移送されます。苦痛の日々が始まるんですね…

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身柄を拘束された者は、犯罪者のような扱いを受けるそうです。まず警察で事情聴取が行われ、その後に護送車(車種はバルカスB1000など)で拘置所へ移送されるそうです。
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バルカスB1000って、昨年バウツェンの政治犯収容所に展示されていました。コレ(↓)です。
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拘置所内部。寒く、屈辱的で孤独な独房。
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バウツェンの拘置所にもあった懲罰房。
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扉を開けると、さらに扉が。
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中の扉を閉めるとこんな感じ。

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内側から見るとこんな感じ。より重い罰では中の扉が閉められてしまい、トイレの使用が制限されて垂れ流しを強要されるというもの。

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人間の尊厳を奪う残酷な仕打ち。ひどいなぁ…(絶句)
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監房は5分~8分おきに監視されるとのこと。夜は20分おきですって。
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ここにもホーネッカーの写真が掲げられておりました。

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教育のセクションでは、漫画によって様々なケースの解説がなされておりました。東独の体制がいかに理不尽であったかが一目瞭然。たとえばコレ(↓)は、美術専攻の女子大生エリカの場合。彼女は自分の個性を発揮したいと願っていますが、国が望むのは「社会主義リアリズム」。エリカは教授と衝突し、退学になってしまいます。このあと、①当局の言うことをきいた場合 ②逆らった場合 の、2種類が描かれています(ここでは省略。著作権もあるでしょうし…)。①は、織物工場に2年間勤めたのち復学を許され、当局が望むような絵を描く画家になるという結末。②は悲惨。退学処分になったエリカは、画家として働く道を断たれます。それでも絵を諦められず、隠れ家でこっそり描き続けるエリカ。ある日、当局から「事情を聞きたいからちょっと来てくれ」と言われ身柄を拘束されます。そしてエリカは「反社会的行動」のために逮捕されてしまいます…ううう、悲しすぎる。これ以外にも様々なケースが漫画で示されておりました。リアル。

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Anpassung(当局の言うことを聞き、合わせた場合)は右へ、Eigensinn (自分の意志を押し通した場合)は下へ。それぞれの結末(末路)が分かるという仕組み。
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小規模ながら、非常に充実した施設でした。最後にトイレへ行こうとすると…
…独房がトイレに!

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中はキレイな普通のトイレでした^^;(トイレなんて載せちゃってすみません)
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…というワケで、とっても充実した1日でした…。











Commented by Happiness裕之介 at 2017-03-02 22:20 x
DDR時代のエアフルトに行ったことがあり、当時はとても煤汚れた町並みだった印象が残っています。
それが今や垢抜けた感じですね。仕事柄、レンガの外壁の美しいディテールに溜息が出ます。恐らく19世紀に建てられた建物を用途変更して使ったのでしょうか。外観のエレガントさに比べると、屋内で行われていた非人道的な行為に背筋が凍りつきます。私が訪れた1981年にもこの施設があったんだ!
もしエアフルトを再訪する機会があれば、私も訪れてみたいものです。
Commented by Alichen6 at 2017-03-03 09:57
> Happiness裕之介さん
おはようございますー。コメントありがとうございます。DDR時代にいらしたことがあるんですね!すごい。旧東独はどこもそうでしたが、木組みの家やレンガの家って、手入れしないとボロボロになるんですよね… メンテナンスの大切さがわかる気がします。で、DDR時代はどこもお金がなかったから、放置せざるをえないという… Gedenkstaette も建物は美しいのに、中身は絶句しますよね。Happinessさんがいらした1981年は、まさにこの Gefängnis が使用されていたころだと思います… GWにいらっしゃる時は(←当然、GWにドイツへいらっしゃるだろうと決めつけているワタシ)是非お寄りくださいー。
Commented by gillman at 2017-03-06 19:29 x
1970年にライプチッヒのメッセをみるビザを国境でとって、車でライプチッヒに向かう途中アイゼナハとエアフルトを見てゆく予定でしたが、アイゼナハで昼食後にシュタージに拘束されて、結局脇目も振らずにライプチヒに行くということで、放免してもらいました。いまだにエアフルトに寄れなかったのが残念です。
Commented by Alichen6 at 2017-03-07 11:23
gillmanさん、コメントありがとうございます!そんなタイヘンな目に遭われたとは。無事でよかった!統一前のエアフルトの画像を最近、見せていただいたのですが、まるで別の街!古い建物はそのままですが、どれも煤けていて… お金をかければいいというわけでもないと思いますが、かけないで放置も悲しいですよね。
by Alichen6 | 2017-03-01 21:54 | ドイツ珍道中 | Comments(4)

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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