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和独大辞典 第2巻が出ました!

 皆様、いかがお過ごしでしょうか。4年ほど前、『和独大辞典』の第1巻をブログでご紹介しました(コチラ)。そしてついに出たのです!そう、待望の第2巻! ホントに待ってましたー。

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     『和独大辞典』 第2巻
     Großes japanisch-deutsches Wörterbuch Band 2: J-N
     Iudicium Verlag 

     Herausgeber (編者):
     Jürgen Stalph (ユルゲン・シュタルフ)
     Irmela Hijiya-Kirschnereit (イルメラ・日地谷=キルシュネライト)
     Wolfgang E. Schlecht (ヴォルフガング・E・シュレヒト)
     Koji Ueda (上田浩二)

     アマゾンのサイトは → コチラ

 今回はJからNまで。第1巻同様、非常に濃~い内容です。そして編者の先生方が素晴らしいのです。上田浩二先生は、長くTVとラジオのドイツ語講座を担当しておられました。私から10年くらい下までの世代は、ドイツ語を勉強した人なら必ず知っている!というくらい有名な先生で、通訳・翻訳の第一人者でいらっしゃいます。日地谷=キルシュネライト先生はドイツにおける日本文学および日本研究の権威。キルシュネライト先生が3.11の直後にドイツの新聞に寄稿なさったのですが、その内容は今もよく覚えています。福島の件でドイツがヒステリックに大騒ぎしていた頃。間違った報道も多くてゲンナリしていた時だけに、あの記事を読んで救われた気持ちになりました…。

 …で、気になる中身をちょびっとだけご紹介。実はですね~、私の本業は独⇒日の字幕なのですが、最近は日⇒独の字幕チェックも時々やっているのです。もちろん、ドイツ語ネイティブではないので訳すのは無理。チェックだけですが、その時にこの辞書が大活躍します。その他、メールを書くときもよく引きます。悲しいかな、ボキャ貧なワタクシはなかなかマトモな文章が書けません…。辞書を引きまくることになります。「ワタクシ、仕事でほにゃくやってまーす♪」とドイツの友人にも言っている以上、あまり恥ずかしい文章も書けないしなぁ… ということで、辞書に載っている表現をつぎはぎして(←ナイショよ)、あたかも自分で考えたかのような顔をしてメールを書いている次第でございます(←ナイショだからね)。

<例>(略語・記号、そして豊富に挙げられている用例(実例)はスペースの都合で割愛いたしました)

★日本語の様々な表現をカバーしている例

「苦痛」 der (körperliche od. seelische) Schmerz, das Leid, das Leiden, die Pein, das Weh, die Qual, die Marter.

~がない keine Schmerzen haben, frei v. Schmerzen sein, schmerzfrei sein, nicht leiden
~を感じる Schmerzen haben, leiden
~を除く Schmerz beseitigen
~を伴う Schmerz mit sich3 bringen, v. Schmerz begleitet sein, Schmerz bedeuten
~を訴える über Schmerzen klagen
~を和らげる Schmerzen stillen , Leid mildern
~に顔が歪む vor Schmerz das Gesicht verziehen
(このあと、具体的な例文が続きます)

★言葉そのものの意味と、そこから派生した意味の両方が載っている例

「地団太を踏む」070.gif (vor Wut od. Ärger) mit dem Fuß aufstampfen ; sich maßlos ärgern, wütend sein; ugs. ausrasten

★かつての学生用語、ドイツ語由来の言葉の例

「メッチェン」 (<dt, Mädchen) das Mädchen (vor dem WK II unter Oberschülern verbreiteter Ausdruck).

★例を探していて、思わず大ウケした言葉(「~喫茶」のほうは、もう存在しないでしょうけれど)

「ノーパン」 (<engl.no+pants) das nichttragen e-r Unterhose (e-s Slips )
~喫茶 ein Café, in dem Frauen mit Minirock u. ohne Slip bedienen;
das ≫Unten-ohne≪ -Café.

 unten-ohne というのが面白すぎます。oben-ohne (=トップレス)はよく耳にするけれど。


★おお!と感心したと同時に、「こんな意味もあったの?」とビックリした例

「こける」 ①umfallen, umkippen; hinfallen, fallen, stolpern, stürzen, zu Fall kommen; ausrutschen, abrutschen, abgleiten, herunterrutschen; herunterfallen
② (Theaterstück, Film etc.) (beim Publikum) durchfallen , ein Flop werden , floppen; allg. nicht klappen, schiefgehen, scheitern, ein Misserfolg werden
③ sich (in jdn.) verlieben, jdm. verfallen
④ (Gaunerspr.) gefangengenommen werden, festgenommen werden; ins Gefaengnis kommen

「興行がコケる」の意味が盛り込まれているのはスゴイ。一方で、③と④の意味は恥ずかしながら知りませんでした。国語辞典を引くと、確かに載っています。

★こんなことまで載ってるの!?とビックリした例

「孟母三遷の教え」 die Legende, wonach Menzius' Mutter dreimal umzog, ehe sie in der Nähe e-r Schule die ideale Umgebung f. ihren Sohn fand.

★略語までカバーしている例

「コピペ」 n. ugs.f → kopî・ando・pêsuto (伸ばす印は違うものが使われていますが、ワタシのパソコンでは出ないので、別の記号で代用しちゃいました)

~アンドペースト (das) Kopieren und Einfügen, das Copy-and-paste


…などなどなど。実に細やかな配慮がなされ、た~くさん用例が載っているのに感心いたします。辞書って、具体的な用例を見ないとイメージが湧かないことも多いですよね。単なる語義だけでなく、実際に使われている例がどれだけ載っているか ― これが辞書の良し悪しの決め手だと思います。第1巻同様、「デカい・深い・広いの三拍子」は健在です。

 そして和⇒独 のチェックをして痛感することなのですが、心情を表す形容詞や副詞って本当に難しい。ズバリそのまま、というドイツ語がなかなかないのです。この辞書を見ても、複数の単語が並んでいます。先生方も苦労なさったことと思います。独⇒和でももちろんそうですが、こうした言葉は翻訳者泣かせですね。

*****************

なお、第1巻はオンライ化されております。AからIまでですが、是非 → コチラ

 これだけの規模の辞書は、気の遠くなるような作業の積み重ねなのでしょう。千里の道も一歩から…どころか、何百万光年の道を1歩1歩行くようなもの。編者の先生方には、改めて敬意を表します・・・。

               元気な「大」の字は、第2巻でも健在♪
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by Alichen6 | 2016-01-11 00:30 | ドイツ語

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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