日本で初めて劇場公開された東ドイツ映画 『Nackt unter Wölfen (裸で狼の群れの中に)』
2014年 10月 29日
実は先日、DEFAのほうの「Nackt...」をDVDで見たのです。なんと!この夏に行ったブーヘンヴァルト強制収容所(コチラ)が舞台。現地を訪れた直後だっただけに、ドキッとしました。
『Nackt unter Wölfen』 (裸で狼の群れの中に) 1963年制作、日本公開1964年
監督:Frank Beyer (フランク・バイヤー)
出演:Erwin Geschonneck (エルヴィン・ゲションネック), Armin Mueller-Stahl(アルミン・ミュラー=シュタール)
<簡単なあらすじ>
1945年4月。ブーヘンヴァルト強制収容所にトランクを抱えたポーランド人の囚人が送られてきた。名はヤンコフスキー。彼がトランクの中に隠していたのは、なんと小さな男の子だった。父と母がアウシュヴィッツのガス室で殺されたのだ。放っておけば死んでしまう。ヤンコフスキーはそんな子供を見捨てておけず、連れてきたのだった。ブーヘンヴァルトの囚人たちもあどけない子供に心を動かされ、皆で隠すことにする。しかし子供をかくまっていることがゲシュタポに知られ、彼らは激しい拷問を受ける。それでも決して子供の隠し場所を明かさないのだった。やがてアメリカ軍が近づき、ドイツ人たちは収容所から逃げ出す。解放されたことを知り、囚人たちは歓喜にわくのだった…。
収容所モノだけど陰惨な感じはなく、ハッピーエンド。手に汗を握るシーンもうまく挿入されており、楽しめました。ただし、「極悪非道なナチ」VS「正義感の強い共産主義者たち」という、いかにもDDRな構図がちょっと鼻につくことも。子供を必死の思いで守る被収容者たちは、共産主義者という設定なのです。監督は東ドイツ映画界で活躍したフランク・バイヤー。この監督についてはワタクシ興味がありまして、もう少し調べてみようと思っています。出演者は東ドイツ映画界で活躍した人ばかり。特にアルミン・ミュラー=シュタールはよく見かけます。
とにかく、日本で初めて劇場公開された東ドイツ映画ということですから、さぞかし当時は話題になったのだろう…と期待して、早稲田の演劇博物館で過去の映画雑誌を調べてみたのですが…
…ほとんど話題になってなかった ガックシ。ほんのちょっとあらすじが紹介されていただけでした。そうですよね、確かにハリウッド大作のような壮大な“スケール感”もないし、日本でも知られている俳優が出ているわけでもない。小さな記事が掲載されただけでおしまいでした。チッ (←コラ)
しか~し。これが今年から来年にかけてリメイクされるんだそうです。テレビ版ですけどね。それを伝えるサイトは → コチラ。 「ルートヴィヒ」の中性的な魅力で知られるようになったザビン・タンブレアや、先日ご紹介したシラーの映画でシラー役を演じたフロリアン・シュテッターも登場します。メガホンを取るのはフィリップ・カーデルバッハ監督、カメラは「アイガー北壁」を撮ったコーリャ・ブラント。どんな作品に仕上がるか楽しみ❤