『それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影』

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 昨年、『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』という本に出会い、とってもとっても感動したことは日記に書きました(コチラ)。著者はベルリン在住のジャーナリスト、六草いちかさん。そして今月上旬に待望の第二弾が出たのです!




『それからのエリス
いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影』
六草いちか著、講談社







e0141754_23394149.jpg 前作では、「舞姫」に出てくる「エリス」のモデルとされる女性を特定するまでの過程が流麗な文章で詳しく描かれておりました。六草さんの「エリス」捜しの旅は、偶然から始まったそうです。エリスが日本を訪ねたことは確かな事実であるため、六草さんは船の乗客名簿を調べ、エリーゼ・ヴィーゲルトという女性がそれではないかと突き止めるのです。その裏付けのために教会の洗礼記録や当時の住所帳など、考えられる限りの資料を徹底的に調べ、気の遠くなるような検証を重ねておられました。

 そしていよいよ続編。今回も前作同様に丹念な調査が重ねられ、エリーゼのその後が流れるような文章で綴られております。実はご縁があって昨年今年とご本人にお会いしてお話を伺ったのですが、前作は「エリーゼのために」(←ご本人談^^)、そして今回は「鴎外のために」書かれたとのこと。エリスのモデルとされる女性については昔から多くの学者や研究者が特定を試みてきたようです。その中には、エリスにとっては屈辱的な説もあったとの話。そんな「汚名」を晴らしたい、という気持ちがあったそうです。また、鴎外についても「身ごもったエリスをポイ捨てした身勝手な男」という見方も多かったそうな(ハイ、私もそう思っていました。ううぅ、鴎外さんごめんなさい)。ところが今回の本で、それがまったくの誤解であり、鴎外は純粋にエリーゼのことを愛していたのだろう、そして身を切る思いでエリスとの関係を断ち切ったのだろうということが伝わってくるのです…。うるうる。

 新聞やネットの報道では、「ついにエリスのモデルとなった女性の写真を発見!」ということばかりが話題になっていますが、これ以外にも驚くような発見がたくさん書かれています。もちろん証拠つき。「ひぇ~~」とか「ほほう~」とか「うげっ」とか、とにかく驚愕の内容てんこもり(←ワタシは決して出版社のマワシ者ではないのですが、とにかくビックリです)。まるで推理小説を読んでいるような気分になりました。(なので詳細は書きませんね。ネタバレになっちゃうと面白さが半減しちゃう)。しかも私には、まるで六草さんがエリーゼ本人に導かれているかのように思えました…。野心も欲もなく、ただただ純粋に鴎外とエリーゼの純愛を信じて彼らの過去をたどっていった六草さんだからこそ、エリーゼの真の姿を追うことができたのだろうと心から思えます。エリーゼが垂らした細い、だけどキラキラ輝く美しい糸は、切れることなく過去へと導いてくれたんですね…。

 そして最後の文章に私はじーーんと来ました。これはネタバレにならないと思いますので引用させていただきますね。

『かつて、追い返されて帰って行ったときのエリーゼの笑顔、絶望のふちで『舞姫』をしたためた鴎外の背中。これは、ふたりの生涯の姿でもあった。』


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14時追記:六草さんからコメントをいただいたので追記しますね。今日9月15日は、ぬゎんとエリーゼさんの誕生日なんだそうです!知らなんだ。まさにドンピシャの日にブログUPしちゃった!スゲー。

『朝の雨すごかったでしょう?
今日はエリーゼさんのお誕生日なのです。
125年前の今日、彼女は東京でお誕生日を迎えているのです。
(築地の精養軒、いまの時事通信社が建っているところ)
無念の帰国を迫られる滞在でしたから、あの雨は彼女の涙かと思ったり。』

(ほにゃく犬 注釈:エリーゼさんは、精養軒に滞在したのでした。レストランだと思っていたけど、元々はホテルだったんですねー。)


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by Alichen6 | 2013-09-15 00:29 | ドイツのこと | Comments(0)

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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