レーゲンスブルクへ

 今回ベルリンに3泊したあと、鉄道で南に向かいました。途中で寄ったのがレーゲンスブルク。そー、ワタシがドイツにどっぷりハマるきっかけとなったマンガ「オルフェウスの窓」第一部の舞台です。前から行きたいと思ってはいたのですが、ドイツ人の知人に「え?レーゲンスブルク?大して見るところもないよー」と言われ、ガックシきて行かずじまいだったのでした。今回、この機会を逃すともう行けないかも!と思い立ち、急きょ泊りがけで行くことになった次第です。

 ワタシったら「レーゲンスブルク(Regensburg)」って、てっきり「雨の城」かと思っていたのですが違うんですね。ドナウ川の支流であるレーゲン川から来ている模様。そしてそのレーゲン川の Regen の語源は諸説あるそうですが、ケルト語由来という説も否定できないとか。いずれにしても雨の Regen ではないようです。ローマ時代から「カストラ・レギナ(=レーゲン川の城塞)」と呼ばれる要塞都市だったそうで、当時の門が残っています。その後も帝国都市として栄えたとのこと。

ここから、マニアックな話になります。すみません。マンガを読んでいらっしゃらない方には「???」ですよね。すみません、内輪話です。お許しください。ご興味のある方は、下をご覧くださいね。


 さっそく本題に入ります。マンガのモデルとなった建物を探すべく、ワタシは張り切って町に乗り込んだわけです。参考にしたのは、古書店で以前購入した「オルフェウスの窓 大事典」と、次のネット。この方のサイトはホントに詳しく、とてもためになりました → コチラ 管理人のマーゴットさん、ありがとうございました。


 マーゴットさんのサイトに詳し~く書かれているので、ワタシなんぞが偉そ~に書いたところで恥をかくだけなのですが、それでもちょびっとだけ。

 駅からドナウ川の河岸まで歩いてすぐ。その間の旧市街に見どころが集まってくれていたお陰で、効率よく見ることができました。小さな、小さな町です。

いきなり現れたのがチョ~高級ホテル「マクシミリアン」。そー、ベルンハルト・ショルツ先生が泊まったホテルです。キッペンベルク夫人が邪魔したことでオペラハウスでのコンサートが中止になりかけましたが、クラウスたちの尽力で野外コンサートが開かれることになります。ショルツ先生に再び指揮をお願いすべく、イザークがホテル・マクシミリアンへ向かったのでした。
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ホテル・マクシミリアンの後ろは、ずっと公園が続きます。その中にポツンとあったのが「ケプラー記念碑」。そー、野外コンサートの際、このケプラー記念碑にピアノを載せてイザークがベートーベンの「皇帝」を弾いたのでした。天文学者のケプラーがかつて住んでいたため、こういった記念碑が作られたみたい。中にケプラーの胸像がどーんと鎮座していまして、ここにグランドピアノを置くのは無理^^;
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そしてレーゲンスブルクの大聖堂。マンガの中でも、あちこちに描かれていますよね。素晴らしい建物でした。夜はライトアップされており、町のあちこちから尖塔が見られました。
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イザークの妹フリデリーケが野菜を売っていたマルクト。意地悪しながらもフリデリーケのことがすっかり好きになってしまったモーリッツが、連日野菜を買い占めていた場所です。そして右手に写るのがノイプファーキルヒェ。ショルツ先生がフランクフルトへ帰ってしまったあと、イザークが教会の中でガックシくるシーンがありますが、そこがこの教会でした。マンガでこの教会の塔が描かれております。
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そしてドナウ川と並行して走るケプラー通り。イザークがピアノを教えた貴族の令嬢、カタリーナ・フォン・ブレンネルが住んでいた通りです。胸を病んで吐血したフリデリーケを心配したカタリーナが「私たちはケプラー通りのブレンネルです」と言って手をさしのべたシーンがありましたよね。この通りのどこら辺だったんだろう…
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ケプラー通りにあるのは、天文学者ケプラーがかつて住んでいた家。
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 ローマ人の城塞だった「カストラ・レギナ」の北門「ポルタ・プレトリア」。五賢帝として知られるマルクス・アウレリウスが建てたと言われているんだとか。今では一部しか残っていません。これがどこで登場するかというとですねー、マーゴットさんが詳しく書いていらっしゃいます。
 お面をかぶったヴィルクリヒ先生にユリウスは連れ去られてしまいます。そのユリウスを、クラウスが捜しにいくワケでございます。2人を見かけなかったかとクラウスが通行人に尋ねると、その男性が「ああ、そのふんそうのふたりなら、マルクス・アウレリウスの城砦あとからドナウの川上のほうへいったような気がするな」と答えるシーンがありました。ちなみに道を尋ねたのはマルクトです。背後に大聖堂が描かれておりました。描写が細かい!感心いたします。
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そしてマンガで何度も登場するドナウ川!川というのは地元の人に愛されるものですが、ゆったり流れていて見ていると落ち着く気がします。水害は怖いですが…。夕暮れ時のドナウはひときわ美しい。橋の上で小さな竪琴を演奏している若い女性がいまして、それがまたロマンチックでした。「千と千尋の神隠し」のエンディングで流れる曲、覚えていらっしゃいますか?あの時使われた竪琴と同じ楽器でした。カモメの声も入っています。風が強くて雑音が入ってしまったのが残念!


そしてトゥルン・ウント・タクシス城へ…

神聖ローマ帝国時代から郵便事業を一手に引き受け、巨万の富を築いたトゥルン・ウント・タクシス家。ドイツだけでなく、世界でも有数のお金持ちです。そのお城がレーゲンスブルクにあったんですね。とにかくスゲーお屋敷でした。この建物に、「オルフェウスの「窓」のモデルがあるとの話。だけどレーゲンスブルク初日に歩きすぎて足が痛くなってしまったワタクシ。その日は城の見学を諦め、足を引きずって宿に帰りました。気を取り直して翌朝このお城へ行ったのですが、やたらデカい。そして撮影禁止。チッ 結局、敷地内にあるカフェでお茶して帰ってきてしまいました。嗚呼、根性のないワタシ。皆様、長く引き伸ばすだけ引き伸ばし、肝心の「窓」をお見せできずにスミマセン。なお、お土産はトゥルン・ウント・タクシス印のグミ「グロリア」。
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このラベルで分かりますように、この家の紋章は「塔とアナグマ」なのです。なんでも、Turm und Dachs が Thurn und Taxis になったとか(お土産売り場のお姉さん情報)。そして「グロリア」というのは侯爵夫人の名前だそ~ですよ。

 トゥルン・ウント・タクシス家の大富豪っぷりは公式サイトで見ることができます。スゲー家 → コチラ

 なお、「オルフェウスの窓」によると、校長先生の娘エレオノーレはテオドール・フォン・ベーリンガー伯に見初められて結婚したワケですが、スパイの容疑で息子以外は全員虐殺されてしまいます。そのテオドールについての記載がスゴイのです。引用しますね。「当時 才気と美貌をもってきこえた若いフォン・ベーリンガー伯テオドールは、あの有名なルドヴィヒⅡ世の取り巻きのひとりで、かのパウル・フォン・トルン・ウント・タクシス公と王の寵愛をわけあっているとうわさされた」。しかし校長先生は「しがない酒場のピアノ弾き」だったという過去を持ちます。そのため、2人の結婚はいわゆる「貴賤結婚」であるがゆえに、バイエルン王が大反対したとのこと。そのため、「フォン・ベーリンガー伯から、エレオノーレをトルン・ウント・タクシス公の養女にださないかという相談をうけた」のでした。その結果、エレオノーレは父親と縁を切り、トゥルン・ウント・タクシス公女としてテオドール・フォン・ベーリンガーと結婚したのでありました。嗚呼、いろいろな意味で、ひぇー!です。


…というワケで、1泊2日の「オルフェウスの窓」ツアー、しっかり堪能したのでした。長々とお付き合いいただき、ホントにありがとうございます。池田理代子さん、ただレーゲンスブルクの町を舞台にマンガを描いただけでなく、当時のバイエルン事情や歴史にもお詳しかったんだなーと改めて感心いたしました。ネットのない時代。衣裳1つ描くのでも、時代考証が大変だったでしょうね。

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Commented by すみれ at 2013-09-05 12:52 x
ありちゅんさん、遅ればせながらお帰りなさい!
今回もドイツを堪能されたようですね。

レーゲンスブルクは、私もいつか行ってみたいです。
「オルフェウスの窓」は社会人になってから、
文庫で一気に読んだクチなのですが、
やはりハマってしまいました。
今にもユリウスやイザーク、クラウスが出てきそうな
風景じゃありませんか!
場面ばめんが思い浮かぶ~!!!
理代子先生はきっちり取材して、描いてらしたのですね。

貴重な写真を見せていただいて、感謝です♪
うらやましい~~~!
竪琴の音とドナウもロマンチックですね!
Commented by tan at 2013-09-05 18:54 x
グロリアと言えば、侯爵と年の差婚をして、若い頃はすごくぶっとんだ公爵夫人として、奇抜なファッションで社交界に名を馳せ、夫亡き後は企業家として資産を運営する一方、カトリック教徒として教会活動をしている人ですね。なんてところに反応してしまいましたが、オルフェウスの窓、改めてすごい作品だなと思いました。レーゲンスブルクが雨と関係ないというのもびっくり!
Commented by Alichen6 at 2013-09-05 21:42
☆すみれさん こんばんは~コメントありがとうございます!はい、帰ってまいりました~~もう2週間経ってしまいました…。すみれさんも「オル窓」にハマられたんですね!同志!! 家に帰って久し振りにマンガを開いてみたら、「おお!確かにあの教会だ~」「ああ!やっぱりこのホテルだ~!」と感激の嵐。セリフもそらで言える自分に驚きました^^; どんだけハマってたんだ、自分!って。小さな町でしたが、堪能いたしました~。またマンガを1巻から読みたくなりました。
Commented by Alichen6 at 2013-09-05 21:45
☆tanさん こんばんは~ コメントありがとうございます。ワタシ、Thun und Taxis は(マンガを通して)知っていたのですが、お騒がせマダムのグロリアさんについては知らなかったのです。。。帰ってから検索してみて、ナルホド~とある意味感心しました^^; ドイツって王室がないせいか、なんとなく貴族とか上流階級ってピンと来ないのですが、やはりいるんですねえ。。。私も「オルフェウスの窓」、ベルばらのような華やかさはないけれど、しっかり描かれた名作だと改めて思いました。徹底的に取材した上で制作されたんでしょうね。感心しちゃいます。
Commented by ししぃ at 2013-09-09 22:53 x
レーゲンスブルク!懐かしい写真の数々、ありがとうございます(シュタイナー橋からの夕陽の映像まで・涙)。

近年では、2008年に訪れて以来です。最初に訪れた1993年には、ケプラー記念碑の柱の部分に”Nazis raus!”というスプレーの大きな落書きがあったんですよ。

池田理代子作品というと、「ベルばら」の知名度があまりにも高く人気もありますが、歴史漫画としての「オル窓」の完成度は本当に素晴らしいと思います。

私も、レーゲンスブルクの由来は雨に関係していると思っていました。ひとつ、賢くなりました。
Commented by ありちゅん at 2013-09-10 16:57 x
☆ししぃさん!!! コメントありがとうございます~~ ししぃさんもレーゲンスブルクへいらっしゃったんですね!それも何度もいらしたんですか!!じゃ、お詳しいですよね。夕陽の写真、なかなかよく撮れたな~と密かに自己満足に陥っておりました^^; 上でもご紹介した「オルフェウスの窓大事典」に池田理代子さんご本人の弁として書かれていたのですが、「ベルばらは代表作、オル窓はライフワーク」なんだそうです。頷けますよね。連載されていた頃は私もまだ高校生だったので、ドイツ編は理解できたものの、ロシア編になるとボリシェビキとかメンシェビキとかが出てきて、途中から分からなくなった部分もありました。あ、怪僧ラスプーチンのあたりは高校生でもちゃんと理解できましたが…^^; 本当によく描けた作品だと改めて思いました。
by Alichen6 | 2013-09-05 11:51 | ドイツ珍道中 | Comments(6)

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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