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クローズアップ現代『フィルム映画の灯を守りたい ~デジタル化の嵐の中で~』

 昨夜、NHKのクローズアップ現代で、『フィルム映画の灯を守りたい ~デジタル化の嵐の中で~」という特集を放映しておりました。ちょうど夕食時だったのでとりあえず録画し、先ほど見ました。デジタル化の波は避けられない、というのは仕事柄、あちこちで耳にしておりました。良質の映画を上映してくれていたミニシアターが次々と閉館い追い込まれたのも記憶に新しいところです。ドイツなど、ヨーロッパ系アートフィルムが好きな私としては、ホントに悲しい現象です。一方で、翻訳作業のデジタル化により効率化も図られ、翻訳者としてその恩恵を受けているのも事実。複雑な心境です。

 番組の内容を簡単に書かせてください。NHKのサイトから引用させていただきますね。
『今年3月、国内最大手のフィルム映写機メーカーが破産し、半世紀の歴史に幕を下ろした。その背景には「フィルム」を廃し、「デジタルデータ」で配信することで、莫大なフィルム現像コストや映写技師の人件費を削減しようというアメリカ・ハリウッドを始めとした大手配給会社の思惑がある。国内では既に、大手シネコンの8割以上がフィルム映写機を使わなくなり、来年には「完全デジタル化」が完了するとも言われる。その一方、ミニシアター等の小規模映画館の閉館が相次ぎ、フィルムで世界中の多様な映画が上映されてきた環境は失われようとしている。映画の代名詞だった「フィルム」は消えてしまうのか?映画の灯を守り続けてきた映写機技術者や映写技師の“今”を見つめ、考える。』(引用終わりです)

 この番組を見て、目からウロコがぽろっと落ちたことがありました。私はてっきり、デジタルはフィルムに比べてコストもかからず、データの永久保存が可能なところが利点なのだと思っておりました。でも違うんですね。デジタルのデータの場合、規格が数年ごとに変わっていくのが現状で、そのたびに変換しないといけない。そのコストがフィルムでの保存に比べて11倍もかかるとのこと。しかも保存の安全性が保証されるものではないそうです。また、国立フィルムセンターの研究員もおっしゃっていました。現時点では、フィルムでの形が保存に一番適しているというのがアーカイブの関係者の共通認識だと(湿度・温度に気をつけるとの条件つきですが。アーカイブなら、その点はバッチリですね)。また、番組に出演した映画監督も、表現者の立場から意見をおっしゃっています。確かにデジタルは撮影しやすく、予算のない若手にも表現できる可能性が広がったけれど、デジタルはゼロか一かの世界。微妙な色味などの表現などは、“幅”のあるフィルムのほうが優れていると。

クローズアップ現代『フィルム映画の灯を守りたい ~デジタル化の嵐の中で~』_e0141754_8232375.jpg
 「一世紀以上つちかわれてきたフィルム映画という文化遺産をどう守るか」という問題提起が印象的でした。いろいろ考えさせられる、よい番組でした。再放送されるといいのですが…。


クローズアップ現代『フィルム映画の灯を守りたい ~デジタル化の嵐の中で~』_e0141754_8233341.jpg



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by Alichen6 | 2012-05-31 08:23 | ドイツ映画

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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