クローズアップ現代『フィルム映画の灯を守りたい ~デジタル化の嵐の中で~』
2012年 05月 31日
番組の内容を簡単に書かせてください。NHKのサイトから引用させていただきますね。
『今年3月、国内最大手のフィルム映写機メーカーが破産し、半世紀の歴史に幕を下ろした。その背景には「フィルム」を廃し、「デジタルデータ」で配信することで、莫大なフィルム現像コストや映写技師の人件費を削減しようというアメリカ・ハリウッドを始めとした大手配給会社の思惑がある。国内では既に、大手シネコンの8割以上がフィルム映写機を使わなくなり、来年には「完全デジタル化」が完了するとも言われる。その一方、ミニシアター等の小規模映画館の閉館が相次ぎ、フィルムで世界中の多様な映画が上映されてきた環境は失われようとしている。映画の代名詞だった「フィルム」は消えてしまうのか?映画の灯を守り続けてきた映写機技術者や映写技師の“今”を見つめ、考える。』(引用終わりです)
この番組を見て、目からウロコがぽろっと落ちたことがありました。私はてっきり、デジタルはフィルムに比べてコストもかからず、データの永久保存が可能なところが利点なのだと思っておりました。でも違うんですね。デジタルのデータの場合、規格が数年ごとに変わっていくのが現状で、そのたびに変換しないといけない。そのコストがフィルムでの保存に比べて11倍もかかるとのこと。しかも保存の安全性が保証されるものではないそうです。また、国立フィルムセンターの研究員もおっしゃっていました。現時点では、フィルムでの形が保存に一番適しているというのがアーカイブの関係者の共通認識だと(湿度・温度に気をつけるとの条件つきですが。アーカイブなら、その点はバッチリですね)。また、番組に出演した映画監督も、表現者の立場から意見をおっしゃっています。確かにデジタルは撮影しやすく、予算のない若手にも表現できる可能性が広がったけれど、デジタルはゼロか一かの世界。微妙な色味などの表現などは、“幅”のあるフィルムのほうが優れていると。
「一世紀以上つちかわれてきたフィルム映画という文化遺産をどう守るか」という問題提起が印象的でした。いろいろ考えさせられる、よい番組でした。再放送されるといいのですが…。