古い雑誌「映画評論」2冊

 おはようございます。連日、ハンパない暑さに見舞われていますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。ワタシったらここに来て、すんごくヒマになってしまいました…。いえ、時間がたっぷりあるというのは悪いことではないのですが、フリーランスのほにゃく犬にとって、「ヒマ=仕事ゼロ」ということでして…。このままずっとヒマだったらどうしようという不安に襲われるほにゃく犬でございます。

 が、やることは山ほどあるのだ。長い間「見なかったこと」にしていた開かずの間、整理せずにずっと放置していた書類の山、たわんだ本棚、ごちゃごちゃの家の中、収穫する前に「バッタの食べほ」と化してしまったベリーの苗(葉っぱは既に編み編みタイツ状。よ~するに葉脈のみ)。こういったモロモロに手をつける前に、とりあえずブログを更新するほにゃく犬でございます。

 人間、ヒマになるといけませんな。ついついネットを徘徊してしまう。先日も調べ物をしているうちに、全く関係ないブツに目が釘付け。迷わずポチってしまいました。それが下の2冊です。もう廃刊となってしまった映画雑誌「映画評論」。上が昭和6年(1931年)4月号、下が昭和16年(1941年)5月号で、どちらもドイツ映画特集。

<昭和6年4月号>
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<昭和16年5月号>
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 それがですねー、すっごく、すっごく面白かったです!まだ全部は読んでいないのですが(分量が多くて読み応えアリ)往年の名作や名監督に対する、当時の評価が載っているのです。目次を見ていただくと分かるのですが、すごいラインナップでしょ。巻頭に映画の写真が載っているのですが、「おお!」と思ってしまう名作ばかり。コーフンいたしました。フリッツ・ラング監督の「メトロポリス」なんて、今じゃ「SF映画の原点にして頂点」とか言われているそうですが、当時の映画評を見ると「スケールのかくの如くに大きいことそれ自身が必ずしもその作品のすぐれたものとは云ひ得ない」「科學の世界を描きつつその出鱈目な非科學的取扱ひの馬鹿々々しさに驚くものがある」「ラングはその後未來を描いてまんまと失敗した」とありました。まだ評価が定まっていない頃なので仕方ないですよね。このオッサンの見る目がなかっただけ。ドイツで活躍した後、アメリカへ渡ったルビッチュに対しては「今も昔も変らないものはエロです。ドイツの頃には油汗のにじみ出る様なネトネトした悪どい猥趣味、アメリカの初めにはかなりきれいに洗練されて來た猥趣味、今は正しく規定通り股下二寸のズローズと云ふことになつちまひました」とあります。この批評家は、いったい褒めているんだか嘆いているんだか。

 とにかく面白いのです。ドイツ映画がこれだけ大々的な特集を組まれることも羨ましいし、かなり踏み込んで分析しているのも驚きです。黄金の20年代直後とあって、日本でも優れた作品が多く公開されたんでしょうね。いいなー。当時の翻訳者さん、大忙しだっただろうなぁ…。昭和6年の頃は、ちょうどトーキーが一般的になってきた頃。この4月号が出たあと、かの「嘆きの天使」が日本でも公開されています。また、この雑誌の中でも「獨逸のトオキイ」とか「獨逸の發聲映畫」といった呼称で特集が組まれています。

 昭和16年のほうは、太平洋戦争が始まる直前とあり、戦争色が見え隠れ。ドイツは既に第二次大戦に突入していましたもんね。ナチ映画も当然、ゲッベルスのお墨付き映画ばかり。複雑な気持ちになります。が、これも史実ということで、ご紹介させてくださいね。でも、ワタシは決してナチ信奉者ではありません(旧ブログで、そちら方面の方がお見えになってしまった苦い経験がありますので、あらかじめ断り書きをば)。ただ、必ずしも露骨なプロパガンダ映画ばかりではなかった模様。瀬川裕司さんの「ナチ娯楽映画の世界」でもありましたが、国民を「いい気分にさせておく」というのもナチ映画の重要な役目だったそうで、一見戦争とは無関係なアート系映画もかなりあったようですね。

(↓ 昭和16年5月号より)
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 それにしても。 ドイツの古い本を読むときは、「げっ ヒゲ文字かぁ」と構えてしまうのですが、日本の古い本なら大丈夫。

…と思っていたワタシが甘かった!旧字体のオンパレード。印刷も今のように高品質でないこともあり、読みづらいったら…。修行が足りないほにゃく犬です。


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Commented by tan at 2011-08-19 10:05 x
わー、ディープな世界ですね〜。こんなに特集が組まれるくらい、注目されていたんですね。!!のオンパレードも時代を感じます。ヒゲ文字と言えば、私の恩師が1学期目の文法の教科書にヒゲ文字のもの(もちろん当時既に絶版で、先生が在庫をすべてキープしていたらしい)を使って下さったおかげで、当時は大変で先生を恨みましたが、普通のアルファベット同様に読めるようになりました!
Commented by mtonosama at 2011-08-19 10:17
おもしろいです。良いもの発見なさいましたね♪

活動弁士やっていた祖父の時代のフリーペーパー風の雑誌を
見たことがありますが、今にひけをとらない面白さでした。

同じくひげ文字恐怖症のとの
Commented by Alichen6 at 2011-08-19 11:34
☆tanさん こんにちは~ コメントありがとうございます。ディープですよね~。昨夜は読みふけってしまいました^^ 内容以前の問題なのですが、日本語がむずかしくて…^^; ヒゲ文字を大学で習ったんですか!いい先生ですね。ワタシは大人になってからなので、時間がかかってしまって。一応読めるのですが、ちょっとイライラします^^;実は20年代のオーストリアの雑誌(タブロイド判くらいの薄いヤツですが)もポチってしまいました。それは所々ヒゲ文字で…。今夜の楽しみにいたします♪
Commented by Alichen6 at 2011-08-19 11:37
☆とのさま こんにちは~~ 「トオキイ」に移行しつつある時代の雑誌ですよねー。弁士をなさっていたお祖父様、当然映画をたくさんご覧になっていたでしょうね。今みたいに何度も再生しなおして見ることができる時代と違い、たいていの人は1回ポッキリですもんね。それを目に焼き付けるのですから、批評家やすごい集中力で見ていたんだろうなーなんて思いをはせちゃいました。
ところで当時もフリーペーパー風の雑誌があったんですか!所々に挟まれる広告がナイスですよね。古い新聞の縮刷版なんかも家においてあるのですが、広告を見るのが好きです♪
by Alichen6 | 2011-08-19 09:39 | ドイツ映画 | Comments(4)

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


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