プラーグの大学生 その2
2011年 08月 18日
自分用のメモも兼ねて、両作品のデータを書いちゃいますねっ
『プラーグの大学生』(Der Student von Prag)1913年
(85分バージョンと41分バージョンがあるそうです。ワタシが入手した英語版は後者。唐突な感が否めなかったのは、短いバージョンだったからなんですね)
Stellan Rye(シュテラン・ライ)、Paul Wegener(パウル・ヴェーゲナー)監督
Hanns Heinz Ewers (ハンス・ハインツ・エーヴァース)脚本
Edgar Allan Poe (エドガー・アラン・ポー) 原作
(ドッペルゲンガーが出てくる『William Wilson』に触発され、エーヴァースが本作の脚本を書いたと言われているそうです)
Deutsche Bioscop GmbH(ドイツ・ビオスコープ有限会社)制作
Paul Wegener (パウル・ヴェーゲナー)バルドゥイン役
John Gottowt (ヨーン・ゴットウト)山師スカピネッリ役
Grete Berger (グレーテ・ベルガー)伯爵令嬢マルギット役
パウル・ヴェーゲナーは表現主義映画として知られる「巨人ゴーレム」の監督も務めていますね。さらに、ナチのプロパガンダ映画として知られる「コルベルク」(ファイト・ハーラン監督)にも出演してたんだ…。知らなかった!ドイツ語のウィキによると、プロパガンダ映画に出演していた一方で、反ナチの姿勢を隠そうともせず、反体制派に資金を提供し、活動家たちを自宅にかくまっていたんだとか。
ヨーン・ゴットウトは、知る人ぞ知る「ノスフェラトゥ」でブルヴァー教授を演じた人だったんですね…。「山師」という言葉がピッタリの風貌でございました。ウッヒッヒ~という笑い声が聞こえてきそうな感じ。
『Der Student von Prag』(1926年)
Henrik Galeen(ヘンリック・ガレーン)監督
Henrik Galleen(ヘンリック・ガレーン), Hanns Heinz Ewers(ハンス・ハインツ・エーヴァース)脚本
Sokal Film GmbH制作
Conrad Veidt(コンラート・ファイト)バルドゥイン役
Werner Krauss(ヴェルナー・クラウス)山師スカピネッリ役
Agnes Esterhazy(アグネス・エスターハージー)伯爵令嬢マルギット役
コンラート・ファイトは「カリガリ博士」で夢遊病者ツェザーレを演じた俳優さんだそうです。ツェザーレはメイクが濃かった上、ほとんど寝てばっかりだったので(笑)、同じ人だとは気づきませんでした。こっちの山師は「山師」というより、山高帽をかぶった「謎の男」といった雰囲気。「ウッヒッヒ~」とは決して笑わず、「フフフ…」といった不敵な表情が似合う。旧作に比べると、カメラ向けの演技も撮影方法も格段に進歩し、この間に映画が一大娯楽産業となっていったのが伝わってきます。観客も目が肥えてきていたでしょうね。よくよく考えてみると、旧作は第一次大戦前夜、帝政ドイツの時代だったんですねぇ…。一方、1926年版はワイマール共和制に移行した時期。たったの13年ですが、激動の時代だったわけですから、社会の変化は大きかったのでしょう。ナットク。