ドキュメンタリー映画 『セヴァンの地球のなおし方』
2011年 06月 30日
セヴァンの
地球のなおし方
ジャン=ポール・ジョー監督
フランス語・英語・日本語
公式サイトは → コチラ
「どうやってなおすかわからないものを、壊し続けるのはもうやめてください」
1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットで、12歳の少女セヴァン・スズキさんが伝説的なスピーチを行いました。大人たち相手に、上のように訴えたのです。真剣なまなざしで訴える少女の映像はとても衝撃的。そして非常に的を射た内容で、痛烈なメッセージを伝えるものでした。本作は、19年前のスピーチの映像と、大人になって新たな命を宿しているセヴァンさんの今の映像を織り交ぜつつ、当時から一向に改善されない(いや、それどころか悪化しつつある)様々な環境問題を取り上げます。「どうやってなおすかわからない」汚染の問題であるからこそ、何かをしなくてはならない。「どうか行動で示してください」というセヴァンさんの切実な訴えを通して、一人一人が真剣に環境問を考える大切さを説く内容となっております。とにかくムダな消費をやめることで悪化に歯止めをかける大切さ、そして自然の恵みに感謝し、独り占めすることなく皆で分かち合う大切さも。
具体的には、合鴨農法で無農薬栽培に取り組む日本の農家の男性、サメの乱獲反対を訴えるフランスの13歳の少女、コルシカ島の生物多様性を保持する農法に取り組むコルシカワイン生産者、環境問題に取り組むジャーナリストなど、様々なケースが取り上げられていました。繰り返し挟まれる少女セヴァンの映像。19年前から同じことを訴え続けなくてはならない現実を突きつけられた思いです。「先祖から受け継いだこの環境を、我々の世代が汚しては次世代を担う子供たちに申し訳ない」という思いにかられました・・・。
高級食材フカヒレを取るため、ヒレだけ切除して体を海に廃棄するシーンが映ります。つらかったです・・・。以前、長年の友人(ドイツ人)から、『日本人はサメを虐待している。そういう現実をどう思うの?』と手紙で聞かれ、それ以降関係がギクシャクしてしまった、という苦い経験があります。そんなことも思い出しながら映像を見ておりました。(それ以来、ワタシはフカヒレを食べなくなりました)。
字幕は横井和子さんでした。とてもわかりやすく、難しい内容もかなりあったにもかかわらず、読んでいることを忘れてすんなり頭に入ってくれる素敵な字幕でした。
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もう公開はほとんど終わってしまったのですが、食の問題を扱ったアメリカのドキュメンタリー「フード・インク」も衝撃的でした。「セヴァンの~」と共通の問題も扱っていると思います。もうすぐDVDになるみたいですので、もしよろしければご覧になってみてください。これを見て以来、私はお肉を買うのが怖くなりましたです。こちらの字幕は松岡葉子さんです。