『ドイツ2009 - 13人の作家による短編』(Deutschland 09)
2009年 10月 21日
気を取り直して書き直します。この映画は知人から面白いよ、と聞いていましたので楽しみにしておりました。映画祭3日目の午後。3時半からのトークショーが終わり、時間が空いたので、通訳の友人と一緒にイタリアンを鱈腹(←漢字で書くとリアル)食べ、「甘いものは別腹~♪」とか言いながらデザートもたっぷり詰め込み、お腹は鱈腹どころかマンボウ腹状態。そして映画は夜の7時半から10時まで。とーぜん、満腹で眠くなりますです。
さてさて、この短編集は13のストーリーで構成されておりました。こう言っちゃあナンですが、やっぱり著名な監督の作品は面白いです。10分前後という短い時間で観客の心に何かを残すには、やはりセンスが必要なんですよね。以下、一部だけご紹介させてくださいっ
★第2話「ヨシュア」
ダニー・レヴィ監督
将来を悲観するダニー(監督本人)が、医師から悲観止めという薬を処方されます。それを飲むとあら不思議。周囲がみんな親切になり、幼い息子が空を飛ぶのです。こう書くと荒唐無稽に聞こえますが、面白かったです。空から着地した息子の目の前には、ある有名人が…。ソックリさんなのですが、ヘアスタイルと服装と体形で一目瞭然。エンディングも面白かったですが、よく考えてみると、痛烈かも。
★第3話「ムラート・クルナスという青年」
ファティ・アキン監督
ドイツ生まれの移民二世の青年が、タリバンの一味であるとの疑いがかけられ、5年もグアンタナモ収容所に収容されていたという事実をもとに、本人のインタビューを再現したものです。「SOUL KITCHEN」と違い、こちらは政治家の名前も実名で登場し、かなりリアルな内容でした。
★第5話「不都合な状況」
ズィルケ・エンダース監督
カール・マルコヴィッチ出演
親からかまってもらえない子供などに、放課後の食事を出してやる施設を営む男性と、それを取材するリポーターが登場します。男性は「ヒトラーの贋札」のカール・マルコヴィッチ。この俳優さんを初めて見たのは、ミステリチャンネルで放映されているオーストリアの超人気刑事ドラマ「Kommissar Rex」(警察犬のレックスが超カワイイ)でした。ちょっととぼけた感じのシュトッキー警部役。そのころは、頼りなさげな感じだったのですが、今じゃ大物オスカー俳優の1人ですもん、大出世ですよね。女性リポーターは、「FC Venus(ヴィーナス11 彼女がサッカーを嫌いな理由」で、プロのゴールキーパー役を演じた女優さんです。
★第7話「ドイツ的フォントへのこだわり」
ハンス・シュタインビヒラー監督
FAZ(フランクフルター・アルゲマイネ紙)からドイツ的フォント(ヒゲ文字)が消えたことに激怒し、新聞社を襲うというブラックな話でした。主役は「冬の贈りもの」で画家役を演じたヨーゼフ・ビアビヒラー。このおじさん、おっとりしているけど演技派で結構好きです。
★第9話「危険分子」
ハンス・ヴァインガルトナー監督
この短編は、何気なく描かれているようで、実は深刻な問題を扱っているように思います。ある大学教師が長期にわたって監視下に置かれた末、テロリストとして逮捕されてしまう、という実話に基づいた話だそうです。ドイツはテロを恐れるあまり、ここまで監視社会になってしまっているのか…と考えさせられました。
★第10話「出張」
トム・ティクヴァ監督
ベンノ・フュアマン出演
エリートビジネスマンが、パリ、香港、カイロ、サンディエゴの4都市に出張するというストーリー。毎回同じチェーンのホテルに泊まり、アメニティをごっそり持ち帰り、ベッドに入ったら毎回同じアダルトなテレビ(ビデオ?DVD?よーわからんのですが)をつけ、翌朝はスタバで飲み物を頼む。毎回この繰り返しなのです。監督はグローバル化を皮肉ったのでしょうか。真面目で堅物そうな主人公が、無表情でアダルトビデオに見入るのが個人的にツボでした。ベンノ・フュアマンを最初に見たのは「アナトミー」でした。その後、「戦場のアリア」で活躍し、昨年は「ノース・フェース アイガー北壁」で主役を演じておりました。
★第11話「ラムセス-セックス・バーの主が語る」
ロムアルト・カーマカー監督
長年にわたり、いかがわしい店を営んできた主が独白する、というスタイルです。これがですねー 個人的にツボでした。店主が「いかにも」って感じの風貌で、その語り口も怪しげなのですが、老後は故郷のペルシャに帰りたい、といったことを語るのにしんみりしました。稼がせてくれて、ドイツには感謝している、とも確か語っていたような。決して、「いかがわしいオヤジの独白」ではないのです…
★第12話「病気の館」
ヴォルフガング・ベッカー監督
これも面白かったです。さすが、「グッバイ、レーニン!」の監督。ドイツをボロボロで朽ちかけた病院にたとえ、風刺が利いています。「社会梗塞」なる病名も飛び出し、今のドイツを皮肉ったもの。ちょっとエグい映像も出てくるのですが(ヒルが患者の血を吸ったりとか)よくよく考えますと、とってもブラック。大人のコメディという印象を受けました。
ふぅ、大急ぎで書き直しましたので、もしかすると誤植があるかも・・・。睡魔に襲われつつ観ましたので、もしかしたら解釈に誤りがあるかも・・・。間違っていましたら、教えてくださいね♪