『バーダー・マインホフ 理想の果てに』 見ました

★配給会社の方から伺いました。東京での公開は7月25日に決まったとのことです~058.gif 
詳しくは公式HPを・・・ → コチラ

 先日、『Der Baader-Meinhof Komplex』 を一足先に見てまいりました。面白かったです!なんと2時間30分の長尺なのですが、長さを全く感じさせず、最後まであっという間でした。映画は1967年のパーレビ国王ベルリン訪問に反対するデモから始まり、1977年のルフトハンザハイジャック事件や実業家シュライヤー氏誘拐・殺害事件までの10年間を描いております。この10年間を2時間半に凝縮するのは、確かに大変だったと思います。が、ストーリーの展開に無理がなく、激動の時代がコンパクトにまとめられており、非常に分かりやすく仕上がっていた印象を受けました。テロリストのドンパチが多いため、派手なアクション映画と思われがちなのですが、さにあらず。監督の話では、実際に撃たれた弾の数を調べ、忠実に再現したとのこと。観客をひきつけるための大げさな演出ではなく、あくまでも史実に基づいたものと知り、むしろドキュメンタリーに近いという印象を受けました。

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(配給会社の方に画像の掲載の許可をいただきました。ありがとうございます)

 試写を見た感想を書くって難しいですね。映画ライターの方々の文章を読むといつも感心します。その作品が持つエッセンスをうまく感じ取り、文章にする難しさ。しかもネタバレ厳禁だし。以下、拙い文章ですが簡単なあらすじと感想を載せちゃいます。

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<簡単なあらすじ>

 時は1967年。イランのパーレビ国王のベルリン訪問に反対する若者たちがベルリンでデモを起こします。そこで悲劇が起きました。学生が警官に撃たれたのです(この警官が実は東ドイツ秘密警察の密偵だったということは、先日ちょこっと日記で書きました)。これをきっかけにデモは過激になります。折りしもベトナム戦争が泥沼化し、反米感情も高まっていたころ。のちにドイツ赤軍派(RAF)の初期メンバーとなるアンドレアス・バーダーがベトナム戦争に抗議し、仲間とともに百貨店に放火。そしてその後、逮捕されます。一方、ジャーナリストだったウルリケ・マインホフも左傾化し、激しい論調の手記を雑誌に投稿するようになります。

 やがてバーダーは仲間の手引きにより脱獄。そしてウルリケ・マインホフと出会うことにより、ドイツ赤軍派が誕生します。彼らは銀行強盗や爆弾テロを繰り返し、世間を震撼させます。そんなとき、ホルスト・ヘロルトがBKA(連邦刑事庁)長官に就任。コンピューターを駆使する最新技術を投入し、断固テロリストたちと戦う姿勢を見せるのでした。やがて初期のメンバーが次々と逮捕され、投獄されていきますが、RAFでは第二世代と呼ばれるメンバーが育っていました。

 投獄されたメンバーたちはハンガーストライキを決行。1名が死亡します。精神的に追い詰められた(・・・ように映画では描かれていました)ウルリケ・マインホフは独房の中で首を吊って自殺。その自殺をRAFメンバーは国家権力によって処刑されたと世論に訴え、獄中の仲間を釈放させるべく、さらにテロ行為を激化させるのでした。

 追い詰められたメンバーはパレスチナゲリラと組み、ルフトハンザ機181便「ランツフート号」のハイジャックを企てます。目的は仲間の釈放でした。しかし時のシュミット首相は断固たる態度で臨み、テロリストとの交渉や妥協を一切拒みます。そしてミュンヘンオリンピックのテロ事件での苦い経験を元に結成された警察の特殊部隊GSG-9投入を決定。そして突入の末、人質の救出に成功します。その知らせに落胆するメンバーたち。そしてその結末は・・・

<キャスト>
アンドレアス・バーダー(RAFのリーダー格です):モーリッツ・ブライプトロイ
ウルリケ・マインホフ(元ジャーナリスト。同じく、RAFの中心的存在):マルティナ・ゲデック
グドルン・エンスリン(RAFのメンバーで、バーダーの恋人):ヨハンナ・ヴォカレク
ブリギッテ・モーンハウプト(RAFのメンバー。2007年に釈放されています):ナディア・ウール
ホルスト・ヘロルト(BKA,連邦刑事庁長官):ブルーノ・ガンツ

 モーリッツ・ブライプトロイはすんごい存在感。彼が出てきただけで、画面の空気が変わったような気がしました。オーラ出てまっせ。彼を見ていると「演技をしている」という感じがまったくしません。役作りがうまいのか、それとも天性のカンで役になりきってしまうのか。とにかく難しい役を次々と完璧にこなす役者だな~と改めて感心。マルティナ・ゲデックも相変わらずの存在感。ノーメークに近いメークとボサボサ髪。独房で次第に精神のバランスを崩していく様を見事に表していました。見ていて感心したのがヨハンナ・ヴォカレク。この女優さんは昨年ドイツ映画祭で上映された「ノースフェース アイガー北壁」でも出ていたのですが、そのときは垢抜けない素朴な女優さんだな~という印象だったのでした。その印象が一変。ハマり役だったように思います。

 そのほかにも、アレクサンドラ・マリア・ララ(めちゃくちゃキレイ!以前より華やかさが増したような・・・)、ハイノ・フェルヒ(映画「トンネル」でトンネル掘った人。「ヒトラー最期の12日間」ではシュペーア軍需相を演じた俳優さん)、ハンナ・ヘルツシュプルング(初主演映画「4分間のピアニスト」でブレイクした女優さん)、トム・シリング(「エリート養成機関ナポラ」などで出てきた美少年)など、華やかな顔ぶれが見られました。

 この作品はテロリストたちを美化して描くこともなければ「巨悪」として描くスタンスでもなく、淡々と史実を追っているように思います。あの時代をどう判断するかは観客に委ねられているのでしょう。

 ドイツの戦後史のキーワードRAF。今まで、本などで読んだりはしたのですが、いまいちピンと来ませんでした。今回、この映画を観てRAFのことが少し分かったような気がします。彼らの主張には正直な話、共感できませんし、彼らが自分たちのイデオロギーを正当化して起こしたテロ行為にも嫌悪感を覚えます。それでも驚いたのは、彼らが放つすさまじいエネルギー。デモで学生に発砲した警官が実はシュタージの手先だったことが最近明らかになりましたが、仮にその事実が当時明らかになったとしても、別のきっかけでRAFは生まれていたんではないか、と思えました。そのくらい、彼らのエネルギーは激しかったのではないかと。地下にたまったマグマが吹き出るような印象を受けました。なぜ彼らはあのような行為に走ったのか。何が彼らをそうさせたのか。世間は彼らをどう見ていたのか。疑問は尽きないのですが、RAFを知るきっかけになったと思います。ドイツにご興味がある方は必見♪
Commented by フランツ at 2009-06-20 22:55 x
こんばんは。
試写会見られたのですね。面白そうな映画ですね。
私は今日、渋谷近辺に行く仕事があったので、シネマライズで早速前売り券を買いました。
Commented by alichen6 at 2009-06-21 10:35
★フランツさん おはようございます。コメントありがとうございます。はい、とてもおもしろかったです!2時間半があっという間でした。RAFの言い分を正当化しているわけではないのですが、徹底的に「悪」として描いているわけでもない、という印象を受けました。監督は史実をできるだけ忠実に描き、それをどう受け止めるかはそれぞれ観客に任せる、というスタンスだったように思います。この映画をドイツの若い人たちはどう受け止めたのか。彼らの感想が知りたいような気がします。浅間山荘事件を日本の若者がどう感じるか、にも似ているような気がします。
Commented by 尚休 at 2009-06-21 13:30 x
RAFですが、ドイツ赤軍派という言い方は一般的なのでしょうか?日本赤軍に影響されたとか倣ったとか聞いたことがあるので、日本だけの言い回しかと・・・。
腰は楽になりました~、にゃ~が側で寝てくれております。ご心配おかけしました、ありがとう御座います。
Commented by ありちゅん at 2009-06-22 07:25 x
★尚休さん おはようございます~♪ コメントありがとうございます。正式名称は「赤軍派」でして、「ドイツ」を冒頭につけるのは日本独特かもしれませんね・・・。この名称は、日本赤軍にならったという話は私も聞いたことがあります。ブログでも「赤軍派」とやったほうがいいのかなぁとはときどき思います。腰が楽になってよかったですね!腰を痛めると、ホント日常生活がとっても不便になって何もできませんもんね~ 引き続きお大事になさってください♪
Commented by Kunka at 2009-06-24 16:18 x
お久しぶりです。私もこの映画見ました!確かにあまり長さを感じませんでしたね。私はマルティナ・ゲデックがすごいはまっていてよかったと思いました。ごつくて意志の強そうな外見と、自分の内面で毒を作りだしてそれに侵されていく弱さが同居していて、ありちゅんさんのおっしゃるように、非常にリアルな存在感がありました。
Commented by Happiness裕之介 at 2009-06-24 23:00 x
ありちゅんの記事を読んで見てみたくなりました。 地方でも上映してくれるのかどうかわからないので、早速ドイツ・アマゾンで検索したら「ドイツ語字幕なし」のDVDや映画本もあります。
日本の公式サイトより長い3分弱の予告編もあって、面白そうだし、私の語学力でも何とかなりそう。
ただドイツ・アマゾンからDVDや映画本を先日取り寄せたばかりなので、ちょっと間をおかないとカミさんがおかんむりかなぁ~。
ところであの頃は、改めて大変な時代だったんだなと感じます。ドイツの語学学校で級友達とはしゃいでいた自分とのギャップの大きさを感じずにはいられません。
Commented by ありちゅん at 2009-06-25 09:33 x
★Kunkaさん おはようございます。昨日はコメントをありがとうございました。Kunkaさんもきっとご覧になっているだろうなあ~と思っておりました。マルティナ・ゲデックよかったですよね。キレイで美しい姿ばかりを見せようとする女優さんでなく、乱れた姿とか疲れ果てた姿といった美しくない姿も堂々と見せる潔さがいいですよね。すごーく美人なのに。ただのテロリスト映画ではなく、あの時代は何だったのか、なぜああいった時代がドイツにあったのかを考えさせてくれる映画だと思います。
Commented by ありちゅん at 2009-06-25 09:37 x
★Happiness裕之介さん おはようございます。コメントありがとうございます!九州でも上映してくれるといいですね。映画のドイツ語はとても鮮明で聞き取りやすかったです。ただ、彼ら特有の言葉づかいなどはありますが・・・。RAFが暴れていた時期は小学生だったのであまりよく覚えていないのです・・・。ルフトハンザのハイジャック事件は親がニュースを見ていたのでなんとなく記憶に残っているのですが・・・。こうして大人になってから見返してみると、大変な時代だったんだなあと私も思います。シュミットさんのように毅然とした指導者がいたこともドイツにとっては幸いだったんだなと思えます。同じようなことが今の日本に起きた場合、漢字が読めない某首相に指導力は発揮できるんでしょうか・・・てんてんてん・・・
Commented by Happiness裕之介 at 2009-07-19 14:06 x
過去の記事にコメントしてスミマセン。見ましたよ!ドイツからDVDと映画本を取り寄せました。DVDはドイツ語字幕が出るので嬉しい。
当時の史実を出来るだけ忠実に映像に残しておきたいとの監督の意志が一貫していますね。演出が控えめな分、かえってドキュメンタリー・タッチの銃撃や爆破シーンは、リアリティをもって迫ってきます。撃たれる側の恐ろしさがよく出ており、自分まで撃たれているようで、身の毛がよだつ気分でした。ドイツに関心がある方は、この歴史を知っておいて損しないと思います。
ありちゅんが書いていらっしゃるので詳しく書きませんが、そうそうたる出演陣。私が驚いたのは、実際の犯人らによく似ていること。女性の場合は、メイク効果もあると思いますが、よく似た実力派の俳優をこれだけ揃えられたものだと仰天。迫真の演技に見とれてしまいました。
143分と、テレビの45分番組の3本分以上ですが、私の語学力でもあまり長さを感じないまま、最後まで一気に見てしまいました。
Commented by ありちゅん at 2009-07-20 10:22 x
★Happiness裕之介さん こんにちは。昨日はコメントをありがとうございました。ご覧になったんですね!私も、史実を今の世代に伝えたい、という監督や製作者の意図を感じました。今のドイツの若い世代(壁崩壊後に生まれた若者が主流になる日も近いですよね)は、70年代に起きた事件ですら、すでに「歴史」となって無関心になっているのではないかと思えます。過去をもう一度振り返るという意味で、こうしたドキュメンタリーにも近い映画というのは意味があるんだろうなぁと思ったり。それはドイツに興味がある外国人にとっても同じですよね。私も、この映画を見てよかったと思いました。
出演陣、すご~く豪華ですよね~。登場している時間は短かったですが、アレクサンドラ・マリア・ララさん、すごーーーくキレイじゃなかったですか?ヨハンナ・ヴォカレクもこれまでの印象とは全く違う役を見事に演じていて感心しました。ブライプトロイとマルティナ・ゲデックは別格ですよね。Es lohnt sich. の一言に尽きます…。
by alichen6 | 2009-07-01 21:08 | ドイツ映画 | Comments(10)

日本にいながらドイツする♪  ドイツ・ドイツ語・ドイツ映画を愛してやまない下っ端字幕ほにゃく犬「ありちゅん」が字幕ほにゃく見習い眉毛犬「Milka」と一緒に書く日記


by Alichen6
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